『にくなしの、サラダよ』ネタバレ雑感

どうやら風邪をひいてしまったようで、
しばらくタラタラしておりました。
引き始めの風邪に効くという漢方薬を
お友達に教えてもらって飲んだら効果テキメンでした。
「まおうとう」とかおっかない響きだけどスゴイ…!
まいくろです。


コトリ会議演劇公演11回め
『にくなしの、サラダよ』
ネタバレで雑感を書いてみようと思います。

内容としては、

とある春の日、真夜中。
一家行きつけのカフェを借りての話し合い。
呼び出したのは四女とその夫で、
その相談とは
「不妊治療のお金(200万円)を貸してほしい」。

父の介護に追われている無職の長女。
OLをしているが、そこまでの貯蓄はない次女。
自由気ままに生きている、所得不明の三女。

「俺は関係ないぜ」って顔の
カフェ店長も巻き込んで、朝まで行われる家族会議。

はたして今夜、結論は出るのか?



こうやって書いてみると
ストーリーは結構シンプルです。
でも、これが一筋縄では行かないのが今回のお芝居。


まず独特のセリフ回し。
同じ単語を何回も繰り返したり、
倒置法を多用したり、主語を省いたり。
普段私たちがしている会話のようで、ちょっと違います。

使っている言葉は、普段使うような単語なんです。
お堅い文章っぽいわけでもない。
もちろん、わざと難解な単語を多用する、
中二病セリフってわけでもない(笑
なのになんでだろう…?
不思議なセリフの応酬になるのです。


あと、話の進み方がまるで女子トーク。
本筋からちょっとしたことで話題がズレて、
誰かが修正しようとするとそこからまたズレて。
ちっとも本題の結論が出ないのです。
さらにズレッぷりがちょいちょい笑えるから恐ろしい。
ぷぷぷと笑っているうちに、
どこから話題がズレたのか思い出せなくなるのです。


これは、時間が決まっているお芝居だから
いつかこのやりとり終わるのはわかっているけどね。
(結論がでるかどうかは別で!)
自分がこの話し合いの場に居合わせたら
終わりのない不毛なやりとりに
「いーかげんにしろー!」ってなるだろうなぁ(笑

本筋がいつまでたっても進まないのは、
おそらく各々の登場人物が、
価値観の違いを流せないからなんだと思います。
まず四女夫婦の間ですでに、感覚が違うんですね。
「(お義姉さんたちに)きちんと話す」というのも、
夫は順序立ててお話ししたいし、
妻は結論をズバンと言ってしまいたい。
そのスリ合わせをしていくうちに論点が変わってしまう。

店内にいるのは四姉妹、四女夫、カフェ店長の6人。
あと、話題の中で姉妹の両親が出てきます。

母親は、彼女たちが少女の頃に家を出て行ってしまって、
以来、父ひとり娘4人の生活のようです。
コメディ仕立てのやりとりの合間にチラッとのぞく、
うっすら肝が冷えるような空気感は、
おそらくこの過去によるものかなぁ。
あとは自分に兄弟姉妹がいないので、理解できないからかも。

観た人によって、
かなり印象が結構変わるんじゃないかな…この芝居。
そんなわけで、
あくまでも私から見た雑感ということで、さくっと。

↓ ネタバレ注意!




>鳥越蝶子@室屋和美さん
長女。ちょうこねえさん。
今回の作品、一番のクセモノだったと思います(笑
だって、次になにをやるのか全く見当がつかないんです。
本人は至って真面目な顔をしているのですが、
やっていることはほとんど奇行といってもいい。
ただ、彼女なりのルールに則って行動しているようでした。
それが周りとあまりにもズレているため、KYな感じに。
「席に着いてないから、わたしは集まってない」理論とか
主張がいちいち独特すぎる(笑

彼女は、父の介護のため仕事に就かずに過ごしています。
昼間カフェに入り浸れるようですし、
今のところそこまで深刻な状態でもないのかな。
ただ、今後はわかりませんよね。
私は彼女に「思考停止」を見ました。
(後述の姉妹抱きしめシーンとか)

ちょっと周り見えてない感じがなんとも愛らしくて、
友人にいたら毎日愉快だろうなぁ、と。
姉妹同士だからってのもあるのか、
「拭いてない」など結構アレな話題もあがっていましたが、
年齢のことは禁句だったりします。
そういうところは、やはり乙女か(*´∀`)



>鳥越葵@有元はるかさん
次女。あおいねえさん。
女性陣の中では比較的まとも…だと思うのですが、
いかんせん周りの寄り道牽引パワーが強すぎて、
葵ねえさんの力だけでは本筋に戻れない…!

彼女から受けた印象は「空気読もうとしすぎて逆に泥沼」。
四女夫婦の不妊原因の話をする際に、
空気が深刻になってはいけないからと気を回しすぎて
「キン○マ」を連発したり
「他の呼び方探し(結論:おたまちゃん)」を始めたり。
本筋に戻ろうとするあまり、自分で横道に逸れてます(笑

回想シーン(少女時代)では、かなり声色が変わります。
肌年齢が5歳あがるとか脅されての「ヒィ!」に笑いました。
設定的にはまだ少女だろうに、
肌年齢って言葉に反応するオマセっぷり…(笑

というか母親の、
野菜を食べさせるための方便が巧い!

「カフェの電球の中に妖精が閉じこめられていて、
 あなたたちの栄養を吸い取ってしまうの」
「だからあなた達はお野菜もたくさん食べて、
 力を付けなくちゃならないのよ」

…って。
母親が娘達に、妖精が可愛いものじゃなくて
恐ろしいモノって教え込んでるのが面白いですよね。
母親が家を出て行った理由は明言されませんが、
こういうところから、色々想像が膨らみます。


葵ねえさん、基本、長女のサポートでしたね。
今までもそうだったんだろなぁ~と思ってしまいました。
頼りない姉のサポートをすることで
あえて自分をいっぱいいっぱいにしている印象。
途中で三女に「葵ねえさんと私は仕事に逃げている」と
言われているシーンもあったなぁ、たしか。



>鳥越千子@牛嶋千佳さん
三女。ちこちゃん。
葵ねえさんへの発言を聞くに、彼女も仕事をしてるようです。
ただ、「○○なのさぁ~」という達観した独特な口調、
一般的なOLさんのイメージはないですねぇ(笑

途中でアスパラガスが云々とかいう歌を歌ってたので、
ストリートミュージシャンか? と、
ナチュラル系の服装だし裏通りの手作り雑貨屋? とか、
露店の占い師…? 似顔絵描き…? などと勝手な想像。
(どうやら本編には出てこないけど
 職業の設定は、かつて有ったそうです。
 お聞きしたらかなりマニアックな商売でした・笑)

四姉妹の三女ですが、
なんというか…すごく自由人。
たぶん、長女と次女が共依存状態で完結しているので、
千子ちゃんは自分ひとりの時間が多くとれたのかなぁ…と。
常に複数の男性と「おつきあい」をしているそうで、
見ようによっては寂しさを埋める為だったのかなぁとか。

彼女は、作中で爆弾発言をします。
このあたりで既に、
完全に男性側の立ち位置で観てるまいくろ。
「結婚しなくても、子供はできるのさぁ」の笑顔に、
内心うひゃーっとなりました。
というかですね、もし子供ができたときにも、
父親がちゃんとわかるようにしてたっていうのがね。
したたかというか、しっかりというか、
一人で生きてくための知恵っていうか(笑…えない)
彼女の発言から、
ある人物が180度態度が変わります。
ものすごーく、見モノでした(笑



>鳥越(山川)花子@水木たねさん
四女。はなちゃん。

チラシによると
結婚した彼女が家を出てから5年後の話って設定ですよね。
というか、あのチラシの語り手、誰なんでしょ。
「私は別に肉が好きじゃないんです」という、
ほんのりと気を使った発言からすると葵ねえさんかなぁ。
でも彼女が父に
「最後なのに肉も出さんか」って言う気はしないな(笑
あ、もしかして姉3人が一行ずつ言ってるのかな。

不妊に悩んでいて、
治療のためのお金を貸してほしいと相談に来ました。
もしかしたらもう長くないかもしれない父親に、
はやく孫を見せたいのもあるし。
正直かなり焦ってます。
姉妹の中で唯一結婚しているという状況とか、
姉3人を見て
「私がしっかりしなきゃ」と思っているのも有るのかな。
自分ですべてを抱え込んでガルガルしている感じ。

四姉妹の年齢、長女(36)のみ出ているのですが、
他のメンツはみんな年齢不詳。
途中に挟まれる回想シーンの感じで、
なんとなく花ちゃんだけ歳が離れてそうだなぁと思いました。
タイトル「にくなしのサラダ」の元になったと思われる
ハムサラダの、母親のハムを食べちゃった話もね。
妙に末っ子の花ちゃんだけ幼い感じというか。

ほんのりと、姉3人が花ちゃんをいじめてたみたいな
シーンもあったし…
少女と女の境界線みたいな部分をちょいちょい感じました。

あと、花ちゃんが一番母親似らしい。
回想シーンで母親役をやったりしてますね。
だからってわけじゃないかもですけど、
「私たちを置いていなくなった母親」への不満も
花ちゃんは受けてたのかな。
それがさっき言った「いじめ」につながるとか。


旦那さんがカフェ内の空気とガルガル花ちゃんに
耐えきれなくなって逃げ出してしまってから、
やっと彼女は姉たちに素直に弱みを見せたようでした。
そんで三女の千子ちゃんが妊娠しているという事を知って、
そして狼狽しまくるその子の父親を見て(←笑)、
気持ちが軽くなったのかなぁ。
なんというか、
他人事にして見ると新しい発見がある…というか。

ラストシーンのちょっとはにかむ感じがかわゆい。
この一件で、花ちゃんもちょっと肩の力抜くことを覚えて、
ゆるっと生きていければいいなぁ(´∀`*)



>山川小次郎@白井宏幸さん
花ちゃんの旦那さん。
どうやら、不妊原因は彼の種のほうに問題があるらしく。
運動率について、わかりやすく
「20%しかはっちゃけられないんです」とか
言ってるのに笑いました。
しかもそれを妻に「ふざけてるの?」とか言われちゃうし。
この辺が夫婦の価値観の差。全体的に不憫(ノД`)

白井さんは、
LINX's TOKYO(およびそこで買ったDVD)にて
演技を観てまして、ビジュアルは頭の中に入っていました。
だからリーフレットの「小次郎」っていうちょい古風な名前が
妙に似合うよなぁとウキウキして。

というか、
リーフレットもらうまで「白井さんは父役だろ!」という
根拠ゼロの予想を立てていました。
ちなみに野村さんは
チラシ記載の「結婚する妹」の旦那役だと予想。
勿論、予想は当たらない(笑

始まってみたらなんとまぁ現代草食系男子というか
女の尻に敷かれてるというか…
不妊原因が自分にあるっていうのもあるせいか、
基本下向きです。
「小次郎」ってより「コジロー」って感じでね。
実際、奥さんの花ちゃんにも
「こじろうくん」って呼ばれてます。

グイグイと引っ張っていく感じの人間ではないのに、
花ちゃんからはそうあるよう求められちゃって、
「人気のない霊安室の横のトイレで…」とか、
「会社から電話があって…」とか皆の前で言われちゃって、
男のプライドはもうズタズタ。
でも「こじろうくんがイイ歳こいて
 鼻水も拭けないでいる」のくだりは笑ってしまいました。
それでも怒ったり花ちゃんを怒鳴ったりしないあたり、
本当に優しい人なのでしょうね。

「そしたら、イイところ行こう」
「…えっち」っていうラストの夫婦のやりとりが、
何回も書いちゃいますけどホントかわいいなぁもう! 


途中回想シーンで父親の役をやったりもしてます。
キャスト数の関係もあるんでしょうけど、
「娘は父親に似た人と結婚する」の隠喩かなぁとか。
基本的にまいくろは
すべてのモノに「意味」を求めてしまう性分ヽ(゚∀゚;



>店長@野村侑志さん
家族会議の会場となるカフェの店長。
四姉妹の一家とは、家族ぐるみのおつきあいだそうです。
父親に先立たれてカフェを継いだとか。

お芝居が始まって、一番最初にフッと現れましてね。
少々だらしなめに開いたシャツの襟と長い首、
すらっとした立ち姿にカフェエプロンが超似合ってて、
しかも今回、まいくろ初見の「オデコ出てない野村さん」。
かなり今までと印象が違うので、ポッとなっていたら、
ツカツカと目の前まで歩いてきてビビりました(笑
(下手のテーブルにマッチが置いてあって、
 それを取りに来た)

家族会議に対して傍観者モードの店長さん。
空気は読んでいるようで
自慢のコーヒーを出すタイミングを失ってしまいます。
「出せないよ、ねぇ?」みたいに
冷めたコーヒーに話しかけてるのにウケました。

義姉&妻に押されっぱなしで萎縮しっぱなしの小次郎さん。
店長さんは、そんな彼に「男のアドバイス」をします。
その話しっぷりが経験たっぷりな感じでね。
「おや、『ごんべい』五代目の再来か?」とね。
でも口調は他のメンツと同じく
コトリ会議独特のアレな感じなのでだいぶ胡散臭い(笑

ここで行われる、店長の妄想劇場がめっちゃ面白い!
「子供? 自分の小さいのでしょ?」から始まって、
卵肌のお子さんが生まれて、
大きくなって結婚したのを見送るまでを一人芝居。
ヒートアップしていく様が、もうおかしくておかしくて。
あそこまでボケ倒す(?)野村さんは
自分の中でかなりレアでした。

そしてさらにレアな姿が見れるのがストーリー後半。
三女の千子ちゃんが発した、突然の妊娠報告。
お相手、実は店長さんだったのです。
そこから急に店長の挙動がおかしくなります。
落ち着きがなくなって、常にせわしなく動いてて。
千子ちゃんが
「全部ウソさぁ~」って言い出すのを願うかのように
彼女をちょいちょい見つめる様が、
もう笑えて笑えて仕方がなかったです。
超余裕の笑みを浮かべる千子ちゃんとの落差…(笑

もはや終盤はソファーに倒れ込んでふて寝。
スポットライトが当たって、
ひとしきり男の本音をわめく店長さんですが、
その器の小ささといったら!(笑
でもあれが本当の、一般男性の反応なんだろうなぁ。
「それではごぎげんよう!」と
ソファに倒れ込む現実逃避店長さんが好きです。
背丈の大きさと、矮小な器量のギャップがスゴい。
脳内で「ごきげんようじゃなーい!」とツッコみつつ
大笑いしてしまいました。
ほんと、いいもの見せていただきました(笑

千子ちゃんの発言からして、
お子さんを堕ろすとは思えないし、
店長さんも「堕ろせ」とは言えなさそうだし、
なんのかんので、
余裕のないお父さんになるんだろうなぁ(笑
千子ちゃんが二人の子育てをするつもりで
引っ張っていけばいいと思いまぁす、と無責任発言(´∀`*)



さて、コトリ会議初体験のまいくろ。
今回のお芝居は
微量の苛つきと、軽妙なやりとりへの笑い、
そしてひとさじの怖さで構成された不思議会話空間でした。

そうそう、まいくろはこのお芝居を観てて
「面白い」と同時に「怖い」って思ったんです。

回想とは別に照明が暗くなる場面があります。
その時の姉妹たちの発している言葉がね、
何かを語っているというよりも
「奥底の感情が漏れ出している」ように思えたのです。
姉妹たちは口に出していないけれど、
その裏にある意識の形を表現というか…
男性陣が女性陣からうけているプレッシャーを、
映像化した感じ。

蝶子姉さんが妹3人を抱きしめているシーンも、
美しい姉妹愛とか、
次女葵のツッコミを無視しているという
感動&笑える場面だったのかもしれないけど…
なんとなく四姉妹が一つの生き物に見えてきて、
その結びつきの強さ&変化を許さない様子に、
ちょっとだけ、怖さを含むシーンなんだろうか、とか。

こうやって振り返らなければ、
さっくりと「不思議で面白い!」で
片づけられたお話なんだと思います。
できればもう一回観ておきたかったお芝居です。

やっぱりお芝居って面白いなぁ(´∀`*)



コトリ会議、次回公演は秋だとか。
すでに9月は観劇予定が詰まっているのですが、
10月11月だったらもしかしたら観に行けそうなので、
頭に入れておこうと思います。

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Author:まいくろ
ついったー:maikuro9696
(画像は7年前に描いたものです)