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『ハーメルンの記憶』役別雑感 3

どうやらバンタムさんは
「映画でも演劇でもない独特の世界観」を
表現することに挑戦している劇団だそうです。

「映画やTVドラマではフレームアウトしていて
 こちらで勝手に想像するしかできない人物の動きも、
 客席から見れるのが演劇」と自分は思っています。

今回の『ハーメルンの記憶』を観ただけの印象だと、
「フレームアウトしているかのように
 彼らへの照明は暗くするし、動きは止まるけれど、
 各々の登場人物は生きている」という感じ。
目を向けると彼らの感情が見て取れる。
でも、目立とうとはしない。
役者さんの演技力が問われる方式だと思いました。


さて、役別雑感。

今回はその暗がりの中でも
目を引いて目を引いてしかたがなかった、
成田幹雄と、その奥様について。

あ、そうそう。
野村さんの次回出演作、
コトリ会議『にくなしの、サラダよ』なんですけど。

なんかハーメルン遠征で夜行バス使ってみたけど
結構体力余ったし、お財布もなんか大丈夫そうだったので、
ロデオ★座★ヘヴン観劇から
夜行バスに乗って観にいっちゃうことにしました。

てへぺろ!



↓ ネタバレ注意!

>成田幹雄@野村侑志さん
>成田幸子@緒方ちかさん

成田幹雄は、戦災孤児入国リストの改竄を行った疑いのある人物。
そして、白昼狙撃事件の被害者「中森葉子」と
最後に接触した人物として、捜査線上にあがった男。
一年ほど前から行方不明になっており、足取りはつかめません。

祇園夫妻と同じく、
成田幹雄とその妻幸子さんの間に生まれた娘も、
エスターハス症候群に罹患しています。
愛しの娘の名前は、みずき。

成田幹雄は「ハーメルン計画」において、
その境遇と入国管理官という当時の立場をつけ込まれ、
共犯者となります。
モルモットとなった孤児の入国記録を操作して、
130人の孤児の存在を記録から消してしまいました。
記録改竄の理由は
成田本人には知らされていなかったようでしたが、
彼は、元は自衛官の電子系専門。
孤児を連れだす役割を担っていたセンターの職員、
中森葉子からも言質を得て、
ハーメルン計画の全貌を知ってしまいます。

罪の意識にさいなまれた成田は、
妻と娘をおいて行方をくらまし、行動を開始。
ハーメルン計画に荷担するきっかけとなった
祇園邦彦氏を脅迫して、ともに自首しようとします。
そして、自分が消してしまった孤児たちの記録を手に入れ、
どうにか守りきろうと画策します。

逃亡中の成田は、
自身の技術を駆使して自己の痕跡を消していきます。
その手腕は見事で、
情報解析捜査官の雁屋ですら手こずるレベル。
そうそう、元自衛官で情報戦のエキスパートってところ、
成田と雁屋は同じなんですよ。
雁屋は情が全くないってわけじゃないけど、
どこか麻痺してるんじゃあ? って思わせるところがある。
そこにきて成田は、情、情、とにかく情の人。


成田夫婦ね、ほんと普通の夫婦だったんですよ。
だからこそ、展開が切なくって切なくって。

まず、現在から10年前の、戦災孤児救済センター設立時。
成田は妻の幸子さんが妊娠したことを知って大喜びします。
彼女のおなかに耳を当てたり話しかけたり、
いわゆる「キラキラネーム」を候補にあげちゃったりして
幸せ全開のお花畑っぷり。
こんなに喜んでくれると、妻もうれしいですよね。
幸せそうな二人がほんと可愛くって、
まいくろも客席で(´∀`*)な顔になってました。
こんな夫婦のもとに生まれた子供は、きっと幸せなはず!


パンフレットには登場人物の経歴が書いてあるのですが、
幸子さんの歩みが、なんていうか本当に平穏なんです。
子供の頃「将来の夢は、およめさんです」って
笑顔全開で言ってたんだろうなぁって感じの幸せ加減。

夫婦の出会いも書いてあってね。納得。
「~なりぃ」とか「てへぺろ!」とか、
幸子さんの発言にちょっと紙一重なものがあったのも、
そういうことか、って。
でも可愛いから許す(´∀`*)
パンフの写真もね、ほんと幸せなんですよ。
旦那さんの、奥さんを後ろから見守ってる感、
この距離感がたまらなく可愛い。


しかし、夫婦の幸せに暗雲がおとずれます。
みずきちゃんが、なんの反応も見せないのです。
ミルクを飲ませてゲップをさせようとしても、
表情が変わらない。
話しかけても、こっちを見ようともしない。
最初は「熱でもあるんじゃ?」と軽く考えていた成田も、
妻の剣幕に押されて夜間救急病院へ。
難病のエスターハス症候群の疑いありと診断されたときの
二人の困惑、ほんと胸が苦しくなります。
「こういう小さな病院では、まぁちょっとアレですから」
という医者特有発言をする、当番医のしゃべり方がリアル。


子供の障害は母体の責任とか、
○○歳には△△ができるようになるのが通常とか、
ネットにかかれている情報を鵜呑みにして
とにかく自分を責めまくる妻、幸子さん。
傍目から見たら、
ちょっとしつこいよ、ってくらいデモデモダッテ。

自分も平常心ではいられないだろうに、
成田はいつも妻を優しくなだめます。
一度だけ、たった一度だけ、
妻の目を見ずにぶっきらぼうに返事をしてしまってね。
そこで幸子さんの顔色が青ざめようとしたとき、
自分が妻を不安にさせたことに気づいた成田が
改めて彼女の目を見て強くうなずくんです。
そこで、幸子さんがほっと安心した顔をする。
そういうところの演技もすっごい細やかで優しくてね。
成田さんいい男すぎ…!!

そんな優しく頼れる男、成田ですが、
妻と娘を寝かしつけたあと、
毎日のように一人で呟いています。
「誰か答えてください、
 どうして…彼女の子供だけが
 こんな目に遭わなければならないのですか…」
もうね! 涙出てくるの!
これ言ってるときの野村さんの表情だけで!
まいくろの文字じゃあ、あの切なさは説明できません。

バンタムクラスステージのまわし者な発言になりますが、
時期は不明ですがDVD出るっぽいので、見てください。
いやいや、むしろ再演希望ですね。
ほんとこの人は生の舞台で観なきゃだめだ…と、改めて。

祇園邦彦に電話をして、
「あなたは政治家をやる資格がお有りじゃない」って
言うときの嘲りと怒りの混じったうわずり声とか。

逃亡中のパチンコ屋で出会った男(ニコラス)に
「あの親(祇園氏)は、子供をほったらかしだ…」と、
空っぽの表情で言うところとか。

中森葉子の根底にある罪の意識を見抜いて、
まるで娘に言い聞かせるように
「ドラッグはやめた方がいい」と
ある意味よけいなお世話な声をかけてしまう所とか。

2月の『ごんべい』観劇前に、
ネットで野村さんの過去公演の感想を調べてたんですよ。
そしたらどこもかしこも彼の演技大絶賛でね。
そりゃ自分も実際観たし惹かれてはいるけれども
絶賛されすぎてるのもちょっと怪しいじゃないですか。
だけどね、実際に演技観ちゃうと絶賛するしかないのです。
ほんと野村さんはズルいです。反則ヽ(*゚∀゚)ノ



あと、成田が捕まるシーン。
このシーンの夫婦二人の演技が秀逸すぎました。

成田を確保するため、厚生調査員のアガタさんは
妻の幸子の銀行口座を凍結させます。
成田は逃亡中も毎月欠かさず養育費を振り込んでいたので、
振り込めないようにすれば成田が現れるだろうっていう作戦。
案の定問い合わせをするために成田は現れます。
待合いロビーで人目を気にしつつ順番を待つ成田の隣に、
沈痛な表情で座る幸子さん。

成田の、二度見からの驚き・戸惑いと、
久々に妻の顔を見れた所でちょっと緩んでしまう頬。
そんな彼に「どうも…」という、
微妙な距離感の挨拶をする幸子さん。

成田は逃亡する際に、幸子と離婚しているんです。
お得意のハッキングで戸籍改竄なのか、
罪を告白して妻を説得し、書類に判を押させたのか。
どちらにしろ、彼が離婚という決断を下したのは
ひとえに愛する家族をゴタゴタに巻き込まないためでしょう。

夫が姿を消して一年、幸子は強くなっています。
一人ですべてを抱え込もうとする成田に、
「あなた、何をしてるんですか…しっかりしてください」
と声をかける幸子さんがね。すごく好きです。
幸子さんから話しかけられた段階で
警察が周りを固めているのを知ったけど逃げない成田も好き。
「元・奥さん」というアガタの発言を聞いて
「妻、でいいです」って幸子が言ったときの
成田の涙が、もうね。
どこまで客席の心を揺さぶるんですかこの人たちは。

舞台上では手元まで見えなくて、
後日Twitterの衣装姿の写真で知ったのですが、
結婚指輪してるんですね。
細かいところまでしっかりと小道具。
しかも逃亡中も、旦那さんは指輪をしていたとか…!
彼の愛情の深さに涙、涙です。


祇園邦彦と成田幹雄が、
自分には不利なモノだとわかっていつつも、
「ハーメルン計画」の記録の抹消を阻止してた理由。
二人は同じ返答をします。
「エスターハス症候群の治療法が確立したときに、
 『もしかしたら』って…。でも、もういいんだ」


…以下は、あくまで、
同じ立場に立ったら自分はどうするかって話ですけど。

実験台として命を奪われた孤児たちですが、
記録を消してしまったら
「その子が生きていた」ことすらも
無くなってしまうんですよね。
縁者が少ない孤児です。
周りの人の記憶から忘れられるのも早いでしょう。
データには「記憶の記録」である
ブレインマップのデータも含まれているとなれば、
尚更消し去るわけにはいきません。
たとえ相手の命を、未来を奪ったとしても、
彼らがここに生まれたという事実、生きていた過去、
存在の軌跡までを消し去るのは許されないと思うのです。

たとえ時が経って記憶が薄れたとしても、
きっかけがあれば、人はきっと思い出せます。
(私が観劇感想をブログに残す理由も、そこにある)
エスターハス症候群の治療法が確立したとき、
この記録が守られていれば、
散った命に思いを馳せることができるんじゃないか。
「治療のために命をくれた130人の子供が居た」と、
救われた患者たちは、彼らにお礼が言えるんじゃないか。

そして、たとえ罪の証拠を消しても、
犯した罪そのものが消えることがない、という事実も
忘れてはいけないことですよね。

だから、私も邦彦氏や成田と同じ立場になったら、
記録を残し、誰かに伝えようとするだろうなぁ。

そして自分自身も記録から抹消されないよう、
なるべく大々的に捕まると思います(笑
自分が捕まるということは、
「ハーメルン計画」が明るみになるということ。
130人の孤児の生きていた証が、
多くの人目に触れるということだから。

あ、でも記録を抹消したい人の手から、
データを守る技術が私にあるかどうかは、別の話です。
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