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舞台『ライン』ネタバレ雑感 その2

さて今度は舞台『ライン』の内容について。

小手川ゆあさんのマンガは、
舞台化の話を知る前から所持しておりました。
読んだことがあるマンガが舞台に…という話は経験してましたが、
いまも所蔵してるマンガが舞台化してそれを観るのは初かな?

田村由美さんの『BASARA』は読んだけど手放してたし、
『殿といっしょ』は観に行けなかったし。


↓ ネタバレ・長文注意!

舞台版『ライン』は、
マンガ版と同時に起きている、という設定です。

マンガの舞台は渋谷。
女子高生二人組が主人公だったのですが、
こちらは新宿を舞台にして、青年二人がメインです。
舞台版の登場人物は青年…って情報を知ったときの
「黒幕(=タスク)側メインか?」という予想は、外れ。
むしろタスクについてほとんど語られないのが、
『ライン』の世界では必要って言うか…
語られないことに意味がある、ってことなんだろうなって。

タスクはマンガと共通して同じ人間でした。
同時進行で指示してるって知ったとき
「おいおいタスク忙しいなぁ!」と思ってしまいました(笑
でも「同時進行」が舞台版ではキーワード。
みんな同時進行で進んでる。
自分だけがつらいってのはちょっと違う、って。

この作品を観て(というかパンフ買って)収穫だったのは、
「タスク」という登場人物の名前が、
PC用語の「task(作業・仕事。またはその単位)」
という意味からとったハンドルネームではなくて、
「助ける」という言葉を歪めたものでもなくて、
彼の本名であったという点が知れたこと。
私は、あの漢字にそんな読みがあることを知りませんでした。

最後に(ゴウダはその時には知らんかもだけど)、
「タスクか!?」って名前を呼ばれたことは、
それはそれでタスクにとって光だったんじゃないかなぁと。
名前は、名乗るもんじゃなくて呼ばれるもんだと思うのですよ。

ケータイの向こうで走ってくれる人が居ると確認できたこと、
「この世界もまだ捨てたもんじゃない」と実感できたこと。
タスクにとって、
これからを生きる救いにまではならなかったのが残念だけど、
完全なる絶望の中で終わった訳じゃないんじゃないかなぁと。

私は、自殺を「人間ができる最大の自己中行為」と認識してます。
自分はすべてから逃れて、周りの人には
「止められなかった」「気づいてやれなかった」という、
ほどけない後悔の重い鎖をかけ、
責任・苦しみを他人に押しつける行為だ、と。
それでも死にたいと、死ぬしかないってことも、
そりゃあ世の中には有るんでしょうね。
私情挟みそうなので深く語るのはやめます。

私は自殺を是とは思いませんが、
「命あっての物種」という言葉にも100%同意できません。
生きてさえいればなんとかなる、はやっぱり理想論だろ…と。


さて『ライン』に登場する自殺志願者たち。
各々の理由で生きる気力をなくしていて、
タスクが管理する自殺掲示板に書き込んで。
指定された時間に自殺しなさいと指示されています。

そしてタスクは「最後の希望」トールにも指示を出して、
彼らの自殺を止めるように促します。
落ちていた携帯をトールが拾わなかったら、
志願者は全員死亡…とのこと。

本命くんの演じるサンタに、その傾向がよく見えましたが、
彼らはみな、心の底から死にたがってるわけじゃない。
正直、誰かに話を聞いてもらうだけで
「死ぬ理由」じゃなくなるものだってあります。
サンタも言ってましたね。
考えれば考えるほど、自分の世界に落ちていく、って。
視野が狭くなっちゃうんです。
他からの視点って、大切。

正直ミコト(プリン担当・笑)は考え方によっては、
羨ましいくらい恵まれてるのに…って思ってしまいました。
だってあんな状態になってても、
各界に「ミコトの紹介なら…」って、
紹介話を受けてくれる知人が居るんですよ?
それでも、死んじゃおうかなって思っちゃうんですよね。
まぁ知人と友人は別っちゃ別ですが。
ミコト、再出発のとっかかりはいっぱいあるじゃん!
って思いました。

一番最初に助けられた志願者ミコト。
いろいろな意味で清涼剤でした。
あと、泣きながら笑う演技。
初見はマジで様子がおかしすぎて、ふるえてしまいました。



ツバサが放った
「『助けて』って、一番言えない言葉なのかもな」
ってなセリフね。
確かになぁって、しみ入ります。
谷口さんに言われると余計にね。
あの人の演技はホントにね…
えーっと、なんでしょうね…連れて行かれますよね。
「理由」も、身近な問題でしたし。

助けてくれたとして、相手に重荷を背負わせるのもイヤだし、
答えてもらえなかったときの絶望感もイヤだし。
「助ける」のは、
全部任せるんじゃなくて、全部背負わせるんじゃなくて、
手をつないでもらって、ちょっとだけ…でいいんだけど、
それでもなかなか伝えられませんね。
何故人間が個性豊かに生まれたかって、
無いものを補い合っていくためなんだろなーって、
思ってはいるけれども。それでもね。

他人を完全にわかってあげることって無理なんです。
でも、感情の共有はできる。
みんなそれが足りてないんだなって思いました。
そして、それを避けてるんだな…とも。

でもツバサは、すごく優しい人。
ぜんぶぜんぶ、他の人のことばっかり。
介護に疲れたんじゃなくて、
苦しむお母さんを見てるのがつらかった。
泣いてるトールを残して飛べなかった。
彼のあの「間」は、
ストーリー上あてがわれた時間じゃなかったと思います。
彼も最後の希望を待ってたんだろなって。
ツバサ、「人の幸せばっかり考えて」ってトールに怒りますけど、
二回目以降の観劇ではずっと
「あなた自身がね!」と心中で言ってました。


トール。
『深説・八犬伝~村雨恋奇譚~』以来の役者さんです。
現在、ティッシュ配りのアルバイト中。
配るティッシュの中に、
手書きのメッセージカードを忍ばせるという遊び心。
明るく振る舞いつつも、
自分には何ができるかを模索しています。
成り行きで「最後の希望」となり、新宿を奔走。
その中で自分に何ができるのか、
どこに進めばいいのかを見つけます。
ツバサとのやりとりがグッときますね。
あと、「最後にもう一度、笑って…」のところ。
相手次第ではすぐに断ち切られてしまう、
ケータイという細いつながり。
古川さん、顔ぐっしゃぐしゃな泣き顔なのにキレイとか反則!

トールの発言で新感覚だったのが、
自殺を決行したというのを、
「一歩踏み出せた」というとらえ方をしてた事。
その感覚面白いなぁって。
彼も無意識に「ライン」を感じてたのか?


そんな風に元気づけられた自殺志願者ユリちゃん。
見えそうで見えないお洋服が危ういです。
死のうとした理由は、一番わかりやすいかな。
ゆうかちゃん(後述)との今後の友情に期待大。

彼女の演技とは関係なしにちょっと「あり?」って思ったのが、
「死ぬ気で走れ」って話なのに、
最後まであの細いヒールのブーツで走り回ってたところ。
自分がヒール履けない人間なので、彼女あの靴で走れるのか?
ってちょっと心配でした(´∀`;

彼女のセリフがきっかけで気づいたのですが。
救出された志願者が、次の志願者にかける言葉が、
たいてい「自分自身に向けての発言」になってるんですね。
なんかそういうところが 繋がり→ライン なのかしら。


さて、ゆうかちゃんです。
キャスト表に彼女の名前はありません。
なぜなら彼女の本名はユウジだから。
一内くん、自身初の(?)性同一障害者の役です。
ポスターやパンフの写真からぜんぜん想像できんかった!
いやはや、度肝抜かれました。だって恋する乙女ですよ。
エピローグの、名前を呼ばれる前のソワソワ感が二重丸カワイイ。

現実問題「身体と心の性別が別」ってのは大変。
だって、お手洗いいくたびに直面するわけですよね…。
「これは、本来持つべき自分の身体じゃない」って。
親が付けてくれた名前も、(心は)女の子なのに
「末永」く「雄」を「司」る …ですからねぇ。
赤ちゃんの時に心の性別はわからないから、親に罪もないし。

上京時に宿泊したホテルが、
道を2、3本はさんだくらいの距離で新宿二丁目でして。
夜中にコンビニに買い物に行ったら私の知らない世界でした。
だからってわけじゃないけど、
一晩挟んでからのリピート観劇の『ライン』では、
色々と彼女の背景を想像してみる心の余裕ができたというか。

戸籍の性別は変えられますし、改名もできます。
でも、彼女の悩みすべてが解消できる訳じゃないんだよなぁ。
お金をかけてアレを取って、お金をかけてソレを付けても、
自前の人とはやはり違うのでしょうし。
生まれ持ったものとの折り合いを付けるのは、
自分自身でやるしかないわけで。
舞台『ライン』は、
完璧な解決策を用意してないところがリアルなんだろなぁ、
って思いました。


女刑事サメジマさんね。
焼身自殺を目撃しても平常心保ってて、
ゴウダに「おまえもダメージ受けるんだな」って言われます。
近しい人こそ、よく見えてないっていうシーン。
あのやりとりは、ちょっと印象的。
ゴウダ、無神経だなーって思うと同時に、
感情的にならないサメジマさん大人だなって。
私は心狭いから根にもっちゃうかもしれないなぁ…(笑

そんな感じで、あの会話は
下手したらトラブルを起こしかねないものだと思ったのです。
自分の思いを相手に伝えられるかどうか。
その積み重ねかたで、ため込んで、内にこもって、
「志願者」になっちゃうのかなって。

サメジマさんは、作中では語られていませんでしたが、
修羅場をくぐり抜けてきたんだろなって印象を受けました。
家族を亡くしてるとか、友人を亡くしてるとか…そういう系。


ゴウダ。
もうね、この人は全身で生きてるなぁって。
人間の三大欲求のうち二つは、ゴウダが舞台上で見せてた(笑
(残りの一つは志願者達が言ってた気がする)
他の登場人物はなんかこうチラチラっと
「ラインの向こう側」の気配がするんですけど、
ゴウダにはそういうのが全く見えません。
だけど、それは何も考えてないって事じゃなくて。
そういえば、ゴウダのしゃべり方に時々、
歌舞伎っていうか時代劇っぽい雰囲気を感じたのは…
私だけですかね(゚ε゚;


ウナギさん。刑事さんです。
ん、刑事っていうか巡査?
(刑事ドラマ見るくせに階級よくわかってない)
ラスト、トールの「コンタクトレンズでーっす!」への対応が、
すっきりとウケました(笑
ウナギ達としては
「ガキども迷惑かけやがって!」って所なんでしょうけど、
ああやって怒ってくれる、繋がっているってことでね。
たしかに笑顔になってしまいます。
聞いた話だと、
登場人物の名前には意味を持たせてるらしいのですが。
なんでウナギ? 


さて本命くんのサンタです。
サンタクロースじゃないです。
芸名「三太」という芸歴10年の売れない芸人さん。
名前は太いくせに神経は細くて、
久々の「すみません」キャラです。

「芸人さんです」とか、
「病気かなーって病院行ったら、 病気だよーって…」
ってな話し方に、
そこはかとなくお笑いの素質を感じてしまったまいくろです。

なんかトークショーで言ってたのですが、
本命くんね、
演出の方にマジの芸人さんだと思われてたって(笑
この話が出たときの、
劇場内の「あーわかるわかる!」感がすごかったΣ(゚Д゚;

お笑い続けてるけど、10年やっても芽が出なくって、
歳ばっかり重ねてどんどん思い悩んで。
故郷に帰って別の仕事に就くっていう選択肢もあるけど、
それを選ぶのはなんだか…とウジウジ。
サンタに関しては、
たぶんこの志願者集団の中では一番「生きたい」側なんだろな。
舞台上で彼は最後の希望がくるのを待っています。
物音がしたら、すぐに後ろを振り返ってました。

トールが自分のやれることを見つけて、
ツバサのまえでそれを披露するシーンがあります。
その時のサンタの表情が、秀逸です。
どんな言葉よりも、
心を刺激されたってのが手に取るようにわかる。
初回観劇はトールばっかり見てたんですけどね。
2、3回目は基本的にサンタばっかり見てました。
本命くん、あの顔、毎回だ。

稽古も入れれば何度も見てるはずなのに、
毎回「こんなの、人生で初めて見た!」って目をしてる。
役者なんだからそりゃそうだよ、
って言われたらそのとおりなんですけど。
でも、不思議ですよね…
サンタね、絶対にトールから目を離さないんです。
そして、一番最初に笑顔で拍手をしてくれます。


一内くんも本命くんも
「ANDENDLESS」の看板を背負っての外部出演でした。
そして成功した志願者&新宿に生きる人々を演じた
ドレメン女子の大橋さん、藤臣さんや、
WS公演でもお馴染みの安宅さん・横倉さん。

「彼らなら、自信を持って送り出せる」
「彼らなら、絶対やってくれる」という信頼があっての、
今回の外部出演だったのだと思います。

アレもコレもみんな公演が被って、取捨選択を強いられた時期でしたが、
まいくろが『ライン』3回観劇したのは、間違ってなかったなぁと思います。



終演後にトールが配ってたティッシュと同様のものを
スタッフが渡してくれるのがイイ余韻でした。

カードは、キャストさんのメッセージでした。
1回しか観れない人にも配慮してあって、
パンフレットに全員分掲載されています。
千秋楽の日はトールみたいに
「コンタクトレンズでーす!」ってポーズ決めててね。
なんかああいうのイイですね(´∀`*)
まいくろは3回観て、
一内くんカードx2、根本さんカードx1でした。
本命くんカードはお友達と交換してGETしちゃったぜウフフ。


基本的に自分は
「劇場に入ったら別世界。
 だけどそこに現実につながる何かがある」
というスタンスで観劇しているのですが、
『ライン』については終始「現実の一部」としてとらえていました。

たぶん、ロビーの終演後ティッシュ配りは、
そういう意味なんじゃないかなって思ったのです。
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(画像は7年前に描いたものです)


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