『セレンディピティ』遅まきながらのネタバレ雑感

腱鞘炎になってしまいました。
「重傷化したら手術しなくちゃなんないんですよ」
と言われ、ドッキドキ。

でも実は、ブログの更新滞り事件とはなんの関係もなかったり。
拍手とか、いつもいつも本当にありがとうございます。
ご心配おかけしまして。

ロデオのお二人への激励記事も兼ねてるんだから、
この記事はもっと早く上げたかったんですけど…まさかの難産でした。
延び延びになってしまい、なんかちょっと申し訳ない気持ち。
まいくろです。


上野ストアハウスで上演された『セレンディピティ』は、
音野くんと澤口さんのユニット、「ロデオ★座★ヘヴン」の旗揚げ公演。
22(日)の昼公演を観劇でした。

一回だけしか観れなかったのがちょっと悔しい作品。
だって…率直に「シーンの関連性がわからない」のです(ノД`)
『RE;ALICE』を「複雑な世界観」とか言ってたら、
もっとスゴいの来ちゃったよ…(笑

旗揚げ公演っていうのは
「自分たちはこんな集団です」
というのを表現する機会だとまいくろは思っていますが、
このロデオ★座★ヘヴンというユニットは、
特定の脚本家が居るわけじゃないそうです。
次回公演ではまた全然違う雰囲気になっているのかも。
そう思うと、ユニット公演というのは
毎回が旗揚げ&解散公演みたいな感覚になるのかな。


↓ ネタバレ注意!


さて、今回の『セレンディピティ』。
サブタイトルに『CUT THE WORLD』とあるように
いくつかの世界が同時に存在していて、
それを断ち切っていく人物も登場します。

いくつかの世界のだいたいの内訳は
「記憶屋ミヤギ」の物語。
「名もなきロボット」の物語。
「悪鬼を殺す少年」の物語。
そして、その世界をうろうろする「天使」。
一人の役者が数役をこなします。

でもたぶん、あれはいくつもの世界が同時に存在するんじゃなく、
作中に出てくる「アシュラという名前の人」を、
いろんな角度や表現法で、何度も表してるって印象。
なんというか、
「考える」んじゃなくて「感じる」作品なんだ、と感じました。
物語の根幹は
「終わらないんです」という、ある登場人物のセリフと、
そこから繋がっていこうとする連鎖の糸を「断ち切る」ことかな。

紙テープ等を使った視覚的な表現法が好みでした。
時には身体を縛るしがらみ、時には目をふさぐ戒め、
そして時には、誰かと誰かをつなぐ赤い糸。

あと、「アシュラはお前だ!」からのシーンも好き。
殻を破って、生まれてくるんです。解放されるのです。


今回の舞台装置は白・銀を基調にしたかなりシンプルなもので、
ほとんど肉体表現なんですね。
役者さん一人一人の技量をフルに使って世界を構成しています。
だから言葉で説明するのがとても難しいのです(笑

退場の仕方もスゴく凝っていて、
死体は後転(体操の時間にやるアレ)しながら退場していったり、
盲目のまま勢いよく走っていったり。
演じ分けもみんなはっきりしていて、
役者の人数は7人なのですが、
登場人物的には30人くらい居たんじゃないのかな?(笑
あと、オープニングで役者さんの名前を舞台装置に映しますが、
「そこに映すのか!?」と仰天しました。


ストーリー量としては「記憶屋ミヤギの物語」が多かったかと。
「記憶屋」という職業の設定が面白かったです。
人が記憶を売りに来て、売った記憶は飲み物になって。
そしてそれを飲んだ人は、その記憶を体感できる。

印象的なエピソードがありまして。
「記憶屋」の元を時折訪れる青年。
彼はいつも、前日の晩の記憶を売りに来ます。
彼の職業は殺し屋。
殺しの記憶を手放したくて、売っています。

それについて「記憶屋」がね、
「人殺しの記憶を捨てたいヤツも居れば、
 人を殺す瞬間を体験したいヤツもいる」って、
需要と供給のバランスについて語るんです。
恐ろしいことに、
そういう人間が現代社会にいないと言いきれないんですよね。
自分が殺すわけじゃないから逮捕されないし、
作り物でないホンモノの記憶だから、リアルだし。
私はお金貰ったって、そんな記憶体験するのはごめんですが。

結局殺し屋の青年は、
自分が手配されていることを知らずに町に出てしまい、
警察に追われて、「記憶屋」の元に戻ってきます。
売った記憶を取り戻そうとして、記憶飲料を一気飲み。
凄惨な「自分の過去」の記憶が青年の頭を駆けめぐり、
青年の精神は耐えきれずに崩壊。
彼は二度と動くことはありませんでした。

「最強の殺し屋は自分自身の過去」という言葉、
とあるアニメで出てきたセリフなんですが。
『セレンディピティ』のこのエピソードを見て、
その言葉が脳内再生されました。
そういえば『RE;ALICE』の時もこの言葉、
頭の中をよぎったんですよね…。


記憶飲料は常習性・中毒性を持つ危険なものでもあります。
とあるイケメン男性が禁断症状を起こすシーンがあるのですが、
真に迫っていてものすごいドキドキしました。
彼はロボットも演じますが、その時はホントに「ロボット」。
言葉の抑揚がなくなり、そのときは表情も、
「『無』を形にしたらこんな顔だろう」って所まで到達しています。

あと、先述の殺し屋さん。
記憶抜かれる際の目の動きと、
精神崩壊起こすときの表情が印象的でしたね。
チラシの写真と姿形が異なっていて、
登場時に「誰!?」と思ったのはナイショ(笑
殻を破ったときの晴れ晴れとした表情も好き。

良子さんは少年・無邪気っ子、
あとは「運命の女性」…とでも言えばいいのかな?
衣装がスゴくかわいい! フランス人形? ロリータ!?
演じ分けが相変わらず見事です。声色からしてもう、全然違う。
「彼女・ハナちゃん」の豪快な家事っぷりが…すげぇ(笑

そんな「彼女・ハナちゃん」の家にいる犬役の方と、
住人とのやりとりもおもしろかったです。
犬だから、言葉は通じてないんです。
会話が絶妙になりたってないのが笑いを誘います。
実際のペットと飼い主も、だいたいがそんな感じなんだろな~。
ロボットの物語では工場長を演じていらっしゃいました。
笑顔ですっごい残酷。
あと…地蔵。なんですかあれは(笑

ミヤギ役の方は間を巧く使える人だなって思いました。
飲み屋店主風のテキトーな「ぬけ感」を見せられてからの、
シリアスシーンでの神か悪魔のような揺るがない表情のギャップ。
ゾクゾクしました。
スピーカーがホンモノだったことが衝撃(笑

澤口さんは人をくったような「天使」の姿でウロウロ。
繋がりをハサミで切るときの、
ワクワクと憎しみと嬉しさの入り交じった表情とでも言えばいいのか…
とにかく壮絶。
まいくろには、その行動になんの意味があるのかわからないけど、
とにかく「やってはいけないこと」だなって、
澤口さんの表情でわかるんです。
あと「とにかく進みまくるロボット」時の、
滑るような、でも堅い動き。身体能力高いなぁと思いました。

音野くん、基本的に「ロボットの世界」に登場するのですが、
すっごい無駄な動きが多いロボットってキャラクター(*´∀`)
周りはみんな最小限の動きで仕事してるのに、
一人で「いやぁ、はっはっは」って、手当たり次第に話しかけるのです。
偶然、ご一緒したファンドレさんと観劇後に、
「いるよね、ああいう人(笑)」と語りあってしまいました。
オヤジくさい笑顔が和む音野くんですが、
「未来の記憶を求める客」役では、その笑顔が逆に不気味に思えたり。
後半の「止まれ、止まれ!」の絶叫&発狂シーンは、
なかなか見ない表情でグッときました。



『セレンディピティ』という言葉を辞書でひくと、
「思わぬものを偶然発見する能力」
「幸運を招き寄せる力」という意味がある言葉なのだそうです。
「終われない」彼は、セレンディピティを欲していたのかなぁ。

後半、ここでラストシーンなのかな? と思わせるシーンが、
何度も何度もあったのだけれど、実はそれはラストではなく…
みたいな展開が数回あって、
まさに「終わらない」のビジュアル化なのかなぁと思いました。


普段観ないタイプの作品で、スゴく新鮮。
感想書き上げるのにスゴく時間かかっちゃいましたが、
アンドレとはまたちょっと違う観劇の楽しみ方を知った作品でした。

「ロデオ★座★ヘヴン」の道行きが、
楽しく明るく幸せにあふれていることであるようお祈りいたします。

次回公演は11月7日~11日。下北沢だそうです。
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(画像は7年前に描いたものです)