『十三夜』 役別雑感 五

今日中に一気に駆け抜ける、『十三夜』役別雑感ラスト。

ミランダとギルティです。


↓ ネタバレ&長文注意!






>ミランダ@福田真夕さん
オリヴィアの妹さんで、グローネのお姉ちゃん。
姉弟で喫茶店「シザーリオ」を経営しています。
まさに、男勝りといった感じの少女。
ホウキは、彼女にとって武器でしかありません(笑

自分がヴァイオラの妹である事を知らなかったミランダ。
シェイクスピアの『十二夜』の戯曲にのめり込んでいますが、
昔の事を思い出したから魅かれた、というわけではない様子。

…ですが。

「違うの…思い出したの!」
過去を思い出したきっかけは、やっぱりオーシーノのセリフでした。
感情が高ぶった瞬間というものは、やはり刻み付けられているのでしょうか。
このセリフで、毎回泣きました。
ミランダの身体のすみずみに染み込んでいた、
彼らの愛情を感じてしまうんです。

「なんという国なの、ここは」
オープニングの、ドアを叩く音に怯えながら言うミランダ。
この言葉、二重の意味なんでしょうか。
なんという(名前の)国なの と、なんという(悲しい)国なの と。
前者はヴァイオラのセリフですが、後者はミランダの叫び…とか。


「頭カチ割って…」とか「ヤッベェ落とした、こりゃ完璧に落とした」とか、
ところどころ入る北斗の拳ネタとか、
『SECOND CHILDREN』の奏音(カナデ)をやった人と、本当に同じ?
…と思ってしまいそうな活き活きバイオレンス女子っぷり、福田さんです。
6番シードの『賊』で、こんな感じの女海賊を演じていましたので、
そこまで驚愕はしなかったなぁ。
特筆すべきは、やはりラストの慟哭ですよね。
扉が開かなければ、彼女はおかしくなってたんじゃないかってくらい。
ゾクゾクしました。



>ギルティ@村田洋二郎さん
軍人さん。襟章は二つ。
ユーゲントを首席で卒業した青年です。
総統閣下の教えを忠実に守り、「町よりも祖国の為」にあろうとします。

「いい人などではない」「悪いヤツで結構」
優しさ・情は 弱さ だと思っているのでしょうか。
回りは全て競争相手、という環境で生きてきたんだろうな、と思いました。
常に張り詰めているギルティです。

大佐に「緑の封筒を持った女」を捜すよう頼まれたギルティ。
封筒をさがすうちに、
それが大佐の命令なのか悪ふざけなのか分からないまま、
ギルティは一介の新人俳優として『十二夜』の舞台に立つことになります。
この時の緊張っぷりがね。
一生懸命深呼吸して落ち着こうとしてるんだけど、
呼吸の回数が増えて余計落ち着かないという(笑
なにげに、13年前のオーシーノと同じ緊張の仕方でした。

『十二夜』ではアンドルー役。
町で、稽古場で、住民達とふれあう程に彼は人間らしくなっていきます。
それは同時に、この国の軍人としてマイナスの方向に進んでしまうという事。
伸びてた背筋が、ドンドン猫背になっていってしまうのです。

強固な守り、だが内は脆い…ってな感じの人間を演じさせると、
これでもかってくらい光る洋二郎さんです。
「閣下の暗殺計画が出回っている現在~」の早口とか、
銃の重さ(=人を殺しているという事実の重さ)を初めて感じた表情とか。
役者としても、重要なポジションにきています。





『The Tempest』、そして『十三夜』。
最後は、どちらも開かれたドアのシーン。

帰っていくシーリーズ、来てくれたギルティ。
扉の向こうは光溢れる世界。

どっちもドロドロ暗いように見えますが、世界に光はある、と肯定しているんだなぁ。
さすが、殿の戯曲と、アンドエンドレスだ、と思った二作品でした。


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(画像は7年前に描いたものです)