スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キコ/qui-co. 『Lullaby』

5月の3日、
キコ/qui-co. 『Lullaby』マチソワ観劇しました。
私、この団体のはね、なるべく2回観たくて。

今回は「恋愛もので、不倫の話です」ってふれこみ。
(作家さんは不倫非推奨スタンスだそうです)

不倫ものっていうと失楽園とか昼顔とかの、なんかこう、
ドロドロ…未来がない…出会いが遅かっただけ…
悲劇なふたりの正当化…みたいな印象があって。
そしたら絶対、好みじゃないやつです。

でもキコ/qui-co.だし! 一般的な不倫じゃなさそう!
と思って詳細を待ってたら、あらすじの時点で
「治安の悪化に伴い、
 政府が[くろがね]という島でのみ不倫等の行為を許す世界」
ということになっていて。
あ、そういう設定だとあんまりドロドロじゃないかも…と。

で、観にいってみたら、さらに戦争要素が入ってきて、
恋愛ものといいつつ、
社会派っぽい面もあってスケールの大きな話になってました。


以下、ネタバレ感想+自ツイートまとめ(※は追記)




「この世界の人間は、体内にマイクロチップが埋め込まれている」
という設定に絡んで
「データがあるなら整理しなくてはならない」
って発言が出てきて。それが妙に印象に残りました。
戦争だから、で終わらせない。
戦後、誰が誰を殺したか、公示しましょう…という演説。
曖昧が許されない世界。責任が記録に残る世界。
い、息苦しい未来だ…

その思想を展開してた、野花ちゃんの担任教師、張先生。
(演説してたのは野花ちゃんだけど指示してるのは彼)
野花ちゃんのママと「くろがね」で不倫してます。
最初出てきたときは、この男強そうだなって思ったんですけど、
観てて、なんていうか、この人「空っぽ」だなと思いました。
もったいつけたように喋るけど、
パワーワードのわりにそれは「自分の言葉」じゃないなって印象。

彼の奥さん、順子さん。
「私はわかってて騙されてるの」と言って彼のそばにいます。
浮気相手(野花のママ)と、わざと面と向かい合わされても
なるべく表面に出さずに、平気なそぶりをして、
うまく生きてるフリをして。心はストレスを抱えてます。

黙祷シーン、この二人が、妙に目を引きました。
一人で生きられるんだとばかりにいつもの姿勢を崩さない夫と、
いつも諸々に目をつぶって生きてるけど、
実際に目をつぶる時は夫をつかむんだなぁ、妻。

順子さんは、彼の空っぽを知っていて、
自分でそこを埋め(てあげ)ようと思ってたのかなぁ…
彼自身が、自分の空っぽに気づいていたのかは正直謎です。
気づいてないのか、あえて気づかない振りをしているのか。
どちらにしても、埋めてくれるものがそばにあったのに、
穴なんか無い、という態度ならどうにもなんないな、って。


くろがねで展開する3組の「不倫」関係も、
「私だけが本当のあなたを知っている」って
相手について思ってるな、って印象でした。
人間はいろんな顔を持つ生き物で、
どれも「本当の自分」だと私は思うのですが、
でも、どれか一つに決めたいんですよね。

くろがねでの「不倫」関係の中で、
チヌと茂夫さんのは
茂夫本妻によってつくられた
お見合い(その後ガチったけど)みたいなもんだし、
茂夫本妻(=野花のママ)と張先生のは、
その身分同士の不倫だからドキドキする、みたいな所があって、
お互いが島の外での相手の人生も知ってたんです。

宮本とテルテは唯一、
島外での自分についてを知らせない関係。
この二人は「不倫」か、といわれたら
ちょっと違うのかもなぁって。
キスはしてたけど、なんか、それ以上を感じない。
肉の生々しさを感じない、魂が直に触れあってる感じでした。
でも、互いに自分自身は「不倫」だと思ってるってのが
(傍目から無神経に見てる立場からの発言として)おもしろいな…

「テルテ」がこれからはずっと「みっちゃん」でいようと決めて、
テルテをしまい込もうとする一連の流れ、
見ていてギュウギュウされました。
「私を思い出さないでください」と背を向けても、
「そんなのやだ」という思いは消えなくて、心が悲鳴を上げている。
後ろ姿でその痛みを伝えた百花さん、すごいなぁ…

「みっちゃん」は夫のこと嫌いな訳じゃないんですよね。
夫を愛してるからこそ「テルテ」として切り離そうとした。
でも運命の人と出会っちゃった「テルテ」は大きくなっていく
みっちゃんもテルテも本当の自分だから、
簡単に身体から切り離せなかった。
だから無理に眠らせていたんだろうな。



この話、登場人物が何人か戦争にいくことになるんです。
理由は様々。
でもなんか、共通の印象として
「ここから助けてよ。
 でも助からないから、消えてしまいたいよ。
 でもせめてなにかの役にたって生きてる証を残していきたいよ」
みたいな感を受けました。。
(外野センセはマジでお人好しで戦地に行った感がある…
 宮本はちょっと違うみたいだけど、
 順子さんと茂夫さんは緩慢な自殺だなって印象受けました)

でね、この「戦争」。
作中で実態が見えない。
登場人物たちは一応民間人で「敵がなに」かも知らされず。
(客席側にも明言されたかというと、微妙)
実際戦地で敵と接触して「相手が日本人」と知り動揺します。
相手をした外野さん曰く、向こうも素人だったとのこと。
九州から上陸してきた敵国に占領されて、兵士にされたのかな。
私は九州が蜂起した日本の内乱だったんじゃないか…とも
思ってしまいました。

戦闘地区には行かない、といいつつも、
宮本たちがついたのは
実は作戦が失敗すれば蜂の巣にされかねない危険な任務。

どうやらこの時代では、
人間の身体にマイクロチップが埋め込まれているそうで。
作中では、お酒は体内チップをスキャンして「認証」しないと
飲めない(販売できない)、というシーンがありました。
あと、銃火機も「登録」した人でないと作動しないとか。
こういう、目に見えないところの未来感、好き。
現代に見せて、実は今よりもっともっと科学が発展してる世界。

で、このマイクロチップ、
ある周波数の音などに反応してしまうというバグがあり、
昔は蝉の鳴き声で誤作動を起こしたとか。
それによって武器が使えなくなり、
当時起きていた戦争は終結せざるを得なかったそうです。

どうやら今のバージョンのチップは、
人の歌声でそのバグが起きてしまうそう。
宮本たちの任務は、その、歌う人(「カナリア」)の護衛。
というわけで、ナマ歌もきける公演でした。
きれいな力強い声でね。
歌詞に使われてる言葉も難しくないから、
なんか、気持ちがダイレクトに来ました。
「そばにいるよ」って歌ってるはずなんだけど
「そばにいてよ」って言葉に感じられる不思議な感覚でした。


未成年なのにマイクロチップが飲酒認証を通ってしまう、
新田さんちの娘、野花ちゃん。
富裕層の家の子ですが、まぁ、ふつうの女子学生なんです。
ただ時折、宮本とテルテの関係とはまた別の意味合いで
「血・肉のにおいがしない」顔をしていることがありました。
実年齢以上に大人の眼をしていて、理想を高く持っていて。
でもまだ少女で、生々しさを知らないところもあって…
世界の仕組みを変えたくて、
でも大人に振り回されてるなあ、って。


以下、自ツイートまとめ(※ は追記)

-----マチネ-----

迷うの考慮して早めに出発したら、
全く迷わずに着けた上に、もう10人くらい並んでた。
(この団体であんな前の席座れたの、奇跡だと思う)

登場人物の名前、なんかすごい字面の人がいる。
そのために生まれたみたいな…
(農家の跡取り、農夫也さん。
 銃もって乗り込んできたシーンで「またサイコパス化!?」
 とドキッとさせつつ、撃たないんだよなぁ…愛にあふれてた)

キコ/qui-co. 『Lullaby』130分。
すごく良かった。
結婚って運命の人をつくるって行為なんだと思う。
で、恋愛って、運命の人としかできないんだと思う。
運命の人は一人とは限らなくて、時間によっても変わって。
そう感じた。
あれ…なんか文字にするとなんか変な感じ。
楔をうたれた。

キコの作品は、設定がいつも絶妙で「うっわ」ってなる。
登場人物がその世界の中でみんな必死にもがいてて、
傷ついて、幸せで、切ない。
称賛したいのに、拍手してよかったのかな。
なんか、悩んじゃった…(観た人ならわかってくれると思う)
(※ 宮本とテルテのシーンで、他出演者がお辞儀する)

もう役者で誰がよかったとか書くのも、もどかしい。
みんなエグいくらいに誰か(何か)を想ってた。
身体があるから触れられるけど、
心に触れられたかは互いに信じるしかない。
いきものって不便ね。
川上憲心さんがかなり私のツボをつく芝居してて
鶴町さんは今回もアレ(※地団駄)してた。
佐藤さん可愛い、ずるい。

男だったら東澤さん(がやってた役の人)嫁にしたい。
あーでも自分じゃ絶対あの子幸せにできないなっとも思う。
毎日キミの人生を食い潰してごめんって思いながら、
彼女を離せない夫になりそう。
(※ かんばる病になーれ♪ のあとの彼女の真顔…笑)
はるかぜちゃんのあの、
世界に染まってるのに染まってなさを感じさせる白さのある芝居、
なにごと…なにごと
(※ デザイナーズベイビーって設定もあるし
 服装のせいもあるんだと思うけど、
 純粋って残酷だなって思わせるところもあったし、
 年相応に優しい大人の男の人に恋心抱いたりで
 なんというか「白」って表現するしかない)

キコ/qui-co. 『Lullaby』は
既婚者が恋愛するから「不倫」の話だけど
世界設定(※ 不倫特区「くろがね」)的にも
「配偶者のある人を愛してしまった悲劇な私」みたいな
変に陶酔した感じが無くて、
現実にそのまま「不倫」という形で持ち帰るのはなんか違う感じ。

名前知らない二人のままなら
わかりあえちゃったのにね~ぇ~♪
(※ hideのこの曲がずっと頭の中でチラチラしてたなぁ)

観てて首から下の感覚がなくなる、いい芝居。

わたし他人が不倫してるのは
(わたしの人生に関係しなければ)勝手にすれば~のスタンスですが、
自分の配偶者がやったら絶対許さないし
死んでも離婚してやらないマンだなって自覚ある。

小栗さんの描くバカな子とかバカな会話(色んな意味で)って
なんであんなに愛しいんだろうな。
それを現実化しちゃう役者さんの力もすごいんだ。
あと言葉の選び方ね…
あんなこと言われたら
ダイレクトアタックされるしかないじゃんっていう
(※千羽鶴のくだりの「僕はこういうの好きなんだ」あたりからの
 「好き」はかなりドキッとする。無自覚なのかあれは…罪深い)

(※ あと野花の演説シーン「好きな人が【いました】」
 からの「豚!」
 好きな人の隣に居られないにしても、
 近くにいられるような世界にしたかったのに
 まさかその人が目の前で刺されるなんて…)

『Lullaby』下手側から観た、
冒頭の佐藤さんなめ(視界的な意味)の百花さんの表情が
すごく良かったんです…! みんな見て…!
(※ 私が観たときは、
 泣きそうな愛おしそうな目をして宮本見て微笑んでた)



-----ソワレ-----

キコ/qui-co. 『Lullaby』マチネとは逆側から。
上手側の夫婦が闇の中でも仲睦まじくて、うあぁってなる。
あの子(※ テルテ)が漏れてく音も逃がさないように当てた手、
もう。つらい。
誰が誰の運命の人か、何が起きるか、って
知っちゃって観る2回目はさらにエグい。
はるかぜちゃん…( ;∀;) 
(※ パーティに外野先生呼ぶって時の顔とか
 千羽鶴つくりで幸せそうにゆっくり折ってるところとか)

満員電車で強制的に襲ってくる、私生活を振り切って乗り換え。
緊迫したシーンだから笑い起きなかったけど、
あのセリフあれじゃん…! とか、
冒頭ってそういうことなの…? とか構成的なところもビリビリ来たなぁ。
ライトの色に、うぁあ。
キコ/qui-co.は明日もあるよ。ザムザ阿佐谷だよ。

(※ 「まだ歌ってるでしょうが!」って「○の国から」だなって。
 彼女を照らした赤いライトは
 録音ボタンの色+気持ちを止める停止信号色だったのかな
 野花は冒頭の時系列では銃撃されてるから…茂夫さんはもう…?)

音楽も最高すぎた
(※終演後に『Water』で歌われてた曲が流れて
 「ひえぇ~、たたみかけないで」ってなった・笑)

『Lullaby』の序盤に飛び出す「貧乏人が(以下略)」って言葉がね…
ぶっちゃけまるっと同意したいことばだったね… 
(※「貧乏人が入ってくると文化が廃れる」的なせりふ)
でもその貧乏は金がないって意味じゃなくて品性の問題でねっていう。
満たされてても本当の意味で満たされてない、
助けの乞い方を知らない人。
(※ 皐おくさまのこと。
 張センセは「弱みの見せ方を知らない人」って感じ)
みんな可愛いね。

今は感情が暴走してるから人恋しくて、誰にも会いたくない。

心が身体の中にあるのはわかってるから、
でも皮膚越しじゃ遠いって思うから、
そんな人がすこしでも相手の体内に近づこうとして
粘膜に触れようとするんだろう。
発したものに心が含まれてると知っているから、
そんな人は相手の声を聞こうとするんだろう。
などと、思ったりした。

何回も聴いてるから、
ヘッドフォン無くても音が聞こえる彼(※宮本)が、
曲を聞いてる間だけ彼女(※みっちゃん)が
「彼女(※テルテ)」になるのを見てて、
せつなかった。寝かせた子を起こす『Lullaby』。
子守唄って面白いね。
最後まで聴かれない前提で歌うんでしょ。終わらない。

明日(日付的にはもう今日!)の14時&18時で公演は終わりなのだが。
奥さんが「デザイナーズベイビー」の話のときに
「あのこ【たち】が最初の世代」って言ったんだけどさ。
作中に他にもいたっけ? 
(※ 社会的に珍しい存在でもない、って意味の複数形なのかなぁ)

クライマックスのスイッチは、もう序盤にあったんだなぁって。
(※ 「妾の子」の懇切丁寧な解説が
 「殺意の種」なんだと思ってました。と、いうかあの会話から
 「それ以前にもあったのかもしれない、
 優しくて鈍感な野花ちゃんエピソード」を想像してしまった…)

「ごじゃっぺ」は
前に『ドリームランド』でも聞いたから聞き取れたし、
「でれすけ」も知識にあったのでわかった。
それ以外はさっぱりわからんかった。
聞き取れないにしても何を言おうとしてるかはわかったし。
じょしこーせーのほうは終始、
ホントなにいってるかわからんかったな~(笑)

ここで「わかんなくてもいっか」と思ってしまったその心が、
作中に起きた戦争のひとつの引き金なのかも、なんて。
末端は何も知らないままうねりに流され、
その怠惰がうねりを大きくしてしまうのかもね。

なにげに憲法記念日にこれを観劇したのも、
巡り合わせなのかなぁ。

カテコ(物語はまだそこにある)の、
外野せんせーの行動(みっちゃんの夫としての顔&教師の顔)とか
野花ちゃんの気持ちの蓋のしかたがさぁ…
かわいせつない…


-----後日-----

キコ/qui-co.はなんというか
「お金がない」ことへの描写がやたら生々しいなって思う…
先日の公演でも彼女が、彼氏について
「小銭を数えてブツブツとなにか考えたあと【おごるよ】と言った」
みたいな表現してて
(しかもそのあと、賽銭は彼女が出した、てなことも言う)なんかじわじわくる

キコ名義じゃないけど小栗さんが書いたロデオ公演『ドリームランド』で、
親に死なれて
「病院から遺体を家に移送するのはパック料金内(追加料金かかりません)」って判明して
ホッとする息子とか…ほんと観てて胃が痛かった…
なによりもまずそっちの心配になってしまう余裕のなさ

物質的な余裕がないと心に余裕なんか生まれないし、
人にも優しくなれないわぁ~

こないだのキコ/qui-co.の、
のぶやさんが田舎っぺぇな口調で奥さんの可愛かったところ言うのすごい好き。
麦わらかぶって軽トラで舗装されてない道走る
そういう幸せ満載の…満載だったの(つд;*)

-----



【脚本・演出】 小栗剛さん

宮本敏和@佐藤健士さん
宮本チヌ@東澤有香さん

新田茂夫@鶴町憲さん
新田皐@宍戸香那恵さん
新田野花@春名風花さん

外野光男@川上憲心さん

張明憲@柘植裕士さん
張順子@ヒザイミズキさん

蜂須賀@植松俊さん
カルロス@袖山駿さん

ムーム@中村美沙さん
パッチ@阿部薫子さん

みっちゃん@百花亜希さん

飯野まこと@えりかさん(エチカ/BLASH)
飯野農夫也@小栗剛さん

スポンサーサイト

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://maikuro96.blog90.fc2.com/tb.php/1185-14ac7a1d

«  | HOME |  »

最近の記事


カテゴリー


リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索


プロフィール

まいくろ

Author:まいくろ
ついったー:maikuro9696
(画像は7年前に描いたものです)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。