彩遊戯の落チ語リ『初花の茶、雪消の酒』

平日夜ですが夜更かし。
まいくろです。

確実にに観劇本数は減らしてるのだけど、
気づくとほぼ毎週電車乗って芝居観に行ってる気がします。
おかしいな…(笑

さて、先週12日マチネで観た作品

彩遊戯の落チ語リ『初花の茶、雪消の酒』の話です。

まいくろが「落チ語リ」と出会ったのは2015年。
(落チ語リ自体は2012年からやってたみたいです)

「落語にしては、動きすぎ
 芝居にしては、役を兼ねすぎ
 朗読にしては、本がない」

そんな、芝居と落語、両方のイイトコドリな企画。

上演時間は1時間程度で、
登場人物全員を、主宰の鈴木彩子さんが演じます。
登場人物数は作品によって変動しますが、
名前が出てくるメインキャラだいたい4~8人+ガヤの人+ナレーションって感じ。

世間話から始まって、「ふっ」と本編に入る感じはまさに落語。
でも、高座に座りっぱなしではなく、
降りて歩きだしたり飛び回ったり、
小道具や身体全部を使ってお芝居もしちゃう。
衣装変化やウィッグも使わず、別人になる様はもう、見事というしか。

彩遊戯メンバーの黒子さんや橋本さん、
どてらい堂のおにいさんが視覚・聴覚・味覚の各方向から彼女を支え、
彼女は毎作品、自身のパフォーマンスを最大限発揮します。

公演日は1作品だいたい1回こっきりのレア企画。
ありがたいことに、ほぼ毎作品観劇できています。幸せ。



今回の落チ語リは鎌倉時代の話。
幕府の「将軍」として生きることを運命づけられた
三代将軍実朝(さねとも)の、
将軍として生きるが故の幸せや苦しみ、
苦しさをちょっとだけ忘れさせてくれた酒と、
それによってもたらされたへヴィな二日酔いを癒した、
「禅じい」の持ってきた苦いお茶と優しさの話。


彩遊戯サイトの公演情報に載っていた文章(イントロダクション?)で
すでに実朝は二日酔いべろんべろんだったので、
若き将軍とじいちゃんのほんわか会話劇になるのかと思いきや…
彼が加持祈祷でも癒されない二日酔いになるまでの過程が7割でした。


実朝と懇意にしている和田一族。
和歌友達の朝盛、幕府成立の立役者で、昔語りをしてくれる義盛。
義盛の息子たちが幕府への謀反計画に参加したということで、
実朝と和田一族との関係はギクシャク。
義盛の嘆願により、息子たちは赦免され、日常に戻れるかと思いきや。

両者の間に決定的なヒビを入れたのは、
実朝が成長することで政治的権力を失いかけ焦った、実朝の後見人。
叔父の北条義時です。
和田一族の力を削ぐために和田一族が幕府に弓を引くように挑発。
将軍にばれない程度に、和田家のメンツに泥を塗るようなことを、陰でコソコソ。

幕府から義時を除こうと、和田一族は挙兵。
ですが、将軍の実朝が義時の庇護下にあるいじょう、
この戦いは幕府への謀反とみなされてしまいます。
戦の末、和田一族は、ほぼ滅亡。

大好きな人たちを失っても「将軍」をしていかなくちゃならない実朝。
妻を愛してるがゆえに不安にさせたくなくて弱音を言うこともできず、
母譲りの「ぎりぎりまで自分の中で抑え込んでしまう」癖が発揮されて
一人酒して深酒からの二日酔い。


「幕府に弓は引けない、でも家の者たちを裏切ることもできない」と、
その両方を手放して「出家する」という結論を出し、
開戦前に最後の別れをするために実朝に会いに来た和歌友くんに、大泣きでした。

彩子さんは言葉を発する前から
「その後」を予感をさせる顔をしていましたので。


下戸なくせにおつまみ付きチケットを買い、
どてらい堂さんお手製の蒸し鶏&蒸し野菜をもぐもぐして、
(開演前にゲットしてすぐ食べたあたたかいのも、終演後のさめてからのも美味!)
彩子さんの、相変わらずの演じ分けの速さに見惚れ、
「和田合戦」を含む緊迫のストーリー展開にドキドキハラハラ、
登場人物たちの心情を思って、涙、涙。

拍子木の音で場面切り替えの効果は今までの作品でもありましたが、
彩子さんが登場人物になっている状態で「カン!」と鳴り響き、
場面が切り替わるその無情さを強く感じました。

高座を降りて会場内を歩いて、
戦場の兵の進みや「神の鏑矢」の威力を見せたり等、演劇要素も。

合戦中、特に神の鏑矢のくだり。
「神社に戦勝祈願の和歌を奉納して何の意味があるのか…」てな、
発する言葉自体は「ナレーション」で「彩子さん」の言葉なのですが、
彼女の表情や動きは戦場にいる武将たちで。
弓で射抜かれながら
「(前略)神頼みもばかにしたもんじゃない」という感じのナレーション。
文字のみ見れば軽妙な口調で読みたくなってしまうような文章でした。
でも、口はナレータ―の役目をしていますが
彼女の身体は声を含めて「戦場」にあり、
あの時点では「和田家側の人」だったので
ひどくシリアスに…もはや、とても皮肉な言葉に聞こえました。

そういうところが、落チ語リならではの効果だなぁって。



次回の落チ語リは8月26日(土)。
演目などの情報はサイト等で後日公開されるそうです。

よほどのことがない限り、次も行く予定。


↓ 以下は、自分のツイートまとめ。
(「ふせったー」追記機能で投稿した長文も含む)

彩遊戯の落チ語リ『初花の茶、雪消の酒』
鎌倉将軍として生きる以上「みんな仲良く」というわけにいかなくて。
二日酔いとそのモヤモヤを癒す苦い抹茶は
薬であると同時に「この世の苦さ」で、
飲み下して「苦いと言えるようになりなさい(言える相手をつくりなさい)」という
栄西(禅爺)の深い優しさ。

演者の彩子さんが実際演じる人物は、
将軍実朝とその周囲の人(8人)+ガヤ+ナレーター。
二人で会話してて一人立ち去ったあと、
残る人物の目線で「あ、振り返ってお辞儀した」ってわかるのとか、
高座降りて口以外を戦場にもっていって口はナレーターするのとか凄すぎた。

そう「口以外」を登場人物にする。
口は登場人物の言葉を語る場合もあるけど、
そんな登場人物の感情の盛り上がるときにも冷静なナレーションが必要で。
黒子ちゃんや音響ハッシーさんもいるけど、
喋ることができるのは彩子さんだけ。
一時間、ほぼ喋りっぱなし。引き込まれる。

抹茶が苦いのは知ってるので、実朝のあの表情はわかるわ…(笑)
桑粥を推し過ぎな「禅じぃ」とか、
豪放磊落ガハハ笑いの義盛おっさんとか、
史実を踏まえつつ、現代風の落チ語リテイストに崩した人物描写や
語りかけてくるナレーター(彩子さん自身が半分)が毎回魅力的。

上演時間は約1時間の、いっかいきりの公演だからここまで盛り盛りやれるのかなぁ…
と思いつつ、1回なのは正直もったいない! 何度も味わいたい! とも。
通常チケット+500円のおつまみも美味しすぎた。


---↓ふせったー追記の長文↓---

とにかく、政治より武芸より和歌! 和歌! な実朝(さねとも)がかわいい。
おちゃらけてるんだけど、
嫁の前ではカッコよくありたいし
ギリギリまで我慢してしまうのは完全に母親似。
嫁に心配かけたくなくて二日酔いと言い出せなくて、
「頭いたい~」からの「(僕は)頭悪い~」とか、
ひたすら可愛い。
で、弱音はくときも、ギリギリまでおどけてしまうようなところが切ない。

二日酔いにも吹き出物にもまずは桑粥を推してくる栄西(禅じぃ)は
さすが年の功って感じの余裕ある喋りや間の取り方で、
過剰にジジイ芝居してないのに「じじいだ」ってわかるのもよかった。
(ビジュアル的に、脳内で歌丸師匠だった)

実朝の妻、信子は
貴族出身というだけあって物腰柔らかな姿勢を基本崩さず、
口も大きく開けない上品子さん。
姑の北条政子を相手にしてつぶれないのは
「自分の無力を知っているから」で、
後半、夫である実朝も自分の無力を思い知る様を見て
禅じぃは「似た者夫婦だ」と笑ってしまう。
思い二日酔いだと知らずに心配しまくりの彼女が禅じぃの手を掴む→禅じぃ側になって彼女の手を強く握る のやり取り好き。

実朝の和歌友達、和田朝盛(とももり)は
謀反騒ぎのところで疎遠になってから久々に歌会にきたところで、
私、この時代の歴史なんか全然わからないのに
「あぁ、この雰囲気…今生の別れだ…」ってわかってしまうような顔をしていて。
その彼のシリアス顔と、
久しぶりに会えた喜びの実朝の
「でもどんな顔したらいいんだろう」を含む
戸惑い混じりの笑顔とのやり取りに
あぁっ…って涙が出てきた。

朝盛の祖父で、
頼朝とともに鎌倉幕府を打ち立てた
和田義盛(よしもり)。
老いてなお盛ん、って感じの元気マッチョおじさんなんだろうなぁ。
歩き方やガハハ笑い、
彩子さんの喉に
かなり負荷がかかりそうだけど、新鮮な姿。
戦の際は、ちょうど立ち止まったところの
奥に陳列されてた酒瓶のラベルが赤い鬼でね…
なんか大きな流れに逆らえない姿が引き立った。

政子の弟で、実朝の叔父となる北条義時。
実朝が成長して
政治的後見人が要らなくなりそうで、
自分の地位を保とうと必死。
将軍の命令は守りつつ、
有力な和田家を挑発したりなどエゲツナイ。
「(実朝は)ご立派になられましたと…お思いでしょう?」ってな皮肉の笑みと高笑い~!
くぁ~! 
こいつもこいつで必死なのわかるけど
コテンパンになるシーンがほしかった!(笑

無表情マシーン部下は「ひろもと」って聞こえのでたぶん大江広元なんだろう。
心を殺してる訳じゃなく、まれに感情的に。
それゆえに彼が感情を出すとまわりが冷静になれる効果が…?



「鎌倉さま」という部下達の呼びかけシーンで一旦話を止めて、
当時の名前の呼び方について説明したあと
「今回は、もう全部下の名前で統一します!」
って宣言して改めて同じシーンを
「実朝さま」って進めるところとか、
禅じぃが
「仏教には
汚い言葉を使ってはいけないという教えがあります。
…【不悪句(ふあっく)】」からの
ナレーターに変化して
「…いまドキッとしたり笑った方は英語をご存じのようですね」というところとか。
客席の感触を想定して作ってるのか、
現場でいれたのか分からないくらいの自然な自前脚注も、楽しい楽しい。


何回も言うけど、
音響と伝令兵士(黒子ちゃん)の役以外は、
全部彩子さんの演じ分け。

あんだけノンストップの台本なのに
毎公演、
開場から開演前までに場内をうろついて客とおしゃべりしてるし、
しかも今回は受付応対まで自力!
芝居も細かいし、ほんと…
おそろしい子! って白目になります(笑)

---↑ふせったー追記の長文↑---



作・演出・出演@鈴木彩子さん

・ 源実朝
・ 栄西(禅じい)
・ 信子
・ 和田義盛
・ 和田朝盛
・ 北条政子
・ 北条義時
・ 広元 etc


演出助手@白井黒子さん
音楽・音響@橋本寛之さん
おつまみ調理・提供@どてらい堂さん
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(画像は7年前に描いたものです)