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彩遊戯の落チ語リ『ほらふき写真』のこと

9月の頭に観てきたものをアウトプット。
まいくろです。

今回は彩遊戯の落チ語リ『ほらふき写真』の思い出し雑記。
音野くんの縁で知った、彩遊戯。
落語と演劇のいいとこどり。

阿佐ヶ谷の隠れ家的蕎麦屋さん「やの志ん」にて。
ワンドリンクならぬ、ワン蕎麦付きチケットでした(笑
終演後にふるまれたお蕎麦、
歯ごたえありつつもスイスイのどを通って、つゆもしっかりとした味で好み。


今回の「落チ語リ」は、
幕末の写真家(当時は「写真師」と呼ばれた)、
下岡蓮杖(しもおか・れんじょう)の話。

元々はこの方、画家だったのです。
あの「狩野派」に弟子入りして、
絵師としての名前ももらってました。
しかし、ある日「銀板写真」という技術と出会ってしまい、
彼は筆を折り、写真師への道をひた走ることに。
そんな彼と、彼を支え続けた妻「おみつ」の話。

↓ ネタバレ&長文につきおりたたみ。


今でこそ「一瞬を切り取り、保存する」写真ですが、
この当時は、最低でも5分間身じろぎせずに
ポーズをとっていないとブレてしまうシロモノ。
しかも、まだ日本人の間にはマイナーで、
胡散臭い、妖術とささやかれるような存在でした。
なぜ、彼がそんな「写真」に魅入られたのか。

家を出て、会えなくなった両親の顔を
いつか思い出せなくなること、その思い出も薄れてしまうこと、
そして、自分の願望と記憶がごっちゃになってしまうこと。
彼はそれが怖かったんですね。

「見たものをそのままの形で残したい」
「記憶にうそをつかれたくない」

絵師になろうと思ったのも、この気持ちが出発点だったようで。
でも、頭の中にあるものそのままを形に残すことは、
彼では叶わなかった。
そこで出会ったのが、板に景色を焼き付ける「写真」でした。


写真の師匠からはその技術の全部を教えてもらえず、
最後の仕上げについては、ほぼ手探り。
長屋の雪隠(トイレ)の1つを勝手に暗室にして、
大家さんにぷりぷり文句を言われ。
「将来的には俺は成功するから、初期投資だと思って」
という蓮杖さんに対して
「俺は目先の利益(ほかの住人の暮らし)を優先する!!」
…と言われ、雪隠暗室は取りやめに。
叩き出されなかったあたりは、
人柄(特にに妻のおみつさん)なんでしょうかねぇ。

暗室がなくなってしまったので、
不要になったそば屋の屋台を暗室にすることにしました。
(あ、これでそば屋での『落チ語リ』だったのかな)

周りからはあやしまれ
「そんなことできるわけない」「ほら吹き」と言われ。

蓄えは底をつき、明日の食事もままならない状態に。
あと1回しかチャレンジできないその際で、
「これでダメだったら、写真から離れなさい」
「離れたら、写真のことを頭で考えるのもいっさいダメ」
「それくらいの覚悟がなくちゃ!」
とおみつさんに発破を掛けられます。
蓮杖は、覚悟の1枚の被写体をおみつさんに決めます。

なるべくほつれの少ない着物を選んで
精一杯おめかしをするおみつさんが、すごく可愛い。
そして、いつも笑顔でいてくれる妻が
被写体として口をきゅっと閉じてやや緊張した面もちで
じっと身じろぎしないでいる姿を見て
改めておみつさんを愛しく思う蓮杖さんに、じーんとなります。

暗室で
「たのむたのむたのむたのむ…」
と願いながら作業する蓮杖さんを、妻も
観客(私たちが大家やほかの住人の役割になった気分)も
緊張の面もちで見守ります。
その甲斐あって、撮影は成功。
銀板に、おみつさんの姿が浮かび上がりました。


技術を手に入れて、写真屋としてお店を出しますが、
「うさんくさい」「魂を吸われるんじゃないか」などで
日本人のお客さんはなかなかつきません。
でも、写真技術を知る外国人のお客さんが来るようになり、
写真屋は「日本人の扮装をして写る」商売をするようになります。

着物を左右逆に着たり、屏風の横に灯籠を設置したり…と、
めちゃくちゃな日本文化を背景にした
外国人コスプレ写真が現代に残っているのは、この頃のもの。
日本人として「その配置&着方は違う」と思いながらも、
お客さんが気分よく写ってるのが一番だよな、ってことで
蓮杖さんも訂正を入れなくなった結果がコレ(笑


少しずつ、日本人の中にも写真に理解を示す人が多くなってきて、
「おさよ」という娘が看板娘として働きに来るようになりました。
これも、奥さんのおみつさんが彼女を誘ってくれたから。

「ニホンジンのプリティガールと写真トレルヨー!」
ってことで商売はますます繁盛。
日本人のお客さんも来てくれるようになりました。
娘が働くことを渋っていた父親も上機嫌です。

しかし、
その看板娘おさよちゃんが体調を崩してしまいました。
長患いで、彼女目当てのお客は減ってしまうし、
町では「やっぱり写真って魂を吸う妖術なんじゃ?」って
ウワサが飛び交うように。
その流れで
「それみたことか、俺は最初から反対してたんだ!」って
言い出す時の「それ」の時点ですぐ
「あ、これはおさよちゃんのパパだな」ってすぐに分かる作りと、
彩子さんのその変貌の鮮やかさが落チ語リの魅力。

意気消沈の蓮杖はふらふらと出歩くようになって。
奥さんがあとをつけていくと、
彼はキリスト教の礼拝堂で体育座りしていました。
どこまでも美しい景色の中にいる夫を見て、
彼女が思ったことは
「 優 し さ に 包 ま れ て る 場 合 か 」。
(でも、もしかしたら
 目に映るすべての物がメッセージになるかも知れない…笑)
あなたはまだ落ち込んでる場合じゃない、
自分がやれること全部やってから神頼みをしなさい、と
夫を奮い立たせます。

彼女は、揺らぎ始めた夫の口から
「写真は妖術じゃない、技術だ」
という言葉を引きだし、彼を職場に立ち戻らせます。

いつも笑って背中を押してくれるおみつさんの
「ねぇ、私たちの子供は写真に写ってないのに
 死んでしまったじゃないの」
という、遠くを見る切な顔がね。涙を誘います。
この夫婦に初めて産まれた子、死んじゃってたんですね…

おさよちゃんも無事に復調して、毎日が過ぎていって。
無事に生まれた子供、東太郎くんも大きくなって、
生意気盛りだけど、写真にも興味あるみたい。
(後で父から「お前が写真を撮れ」って言われたとき、
 「えぇー」と言いながらこっそりガッツポーズしてたし)

幸せな毎日の中、おみつさんの身体は弱っていきます。
もともと丈夫な方ではなかったようで。
看病むなしく、彼女は少しずつ細くなっていきます。
蓮杖はキリスト教に改宗し、おみつさんにも洗礼を受けさせます。
やることはやったんです。
だからもう、ほんとにほんとの、神頼み。

彼女の主治医(ヘボン医師)とその奥様の協力を得て、
おみつさんが蓮杖を立ち上がらせたあの礼拝堂で、
ウェディングドレスを着たおみつさんと蓮杖は写真を撮ります。
蓮杖は写る側なので、この写真を撮ったのは息子の東太郎くん。

ここの3人のやりとりは、わちゃわちゃしてるのに儚くて、
おみつさんが、肩に置かれた夫の手にそっと触れるあたりで
死亡フラグ立ってるの完全に分かってるのに
まいくろはおとなしく座りながら脳内で
「おみつさん死んじゃやだ! やだ!」だだをこねていました。

やっぱり写真を撮ってしばらくして、
おみつさんは亡くなってしまいました。

蓮杖は横浜の店を離れ、浅草に移り住みます。
その家の庭には、ブドウを植えています。
「写真が成功して贅沢できるようになったら、
 お前はなにが食べたい?」
というかつての蓮杖の問いに対して
あれやこれやと並べた彼女が最後に望んだ水菓子(くだもの)。



蓮杖(彩子さん)が写真を撮るとき、
隣に置いてあるカメラの蓋をあけるのですが、
そのときに鳴る「ざあぁぁぁ」って音。
それとともに、遠くなるBGM。
集中するときに周りの音が聞こえなくなるような、あの感じ。
被写体の息づかいや心臓の音、周りにある命の音や空気も
銀板に吸い込んでいくような感触でした。


彩子さん一人の「落チ語リ」を観るのは、
前回の『紫屋歌麿』のラストにやった今作の予告ぶりですかね。

今回は彼女一人(というか、相方が居るほうがレア)で
お喋りしているのですが、
蓮杖、妻のおみつ、息子の東太郎、
長屋の大家、噂をする町の人(2人x2組)、
おさよの父親、うさんくさい外国人…と、あと語り部で11人か?
(ほかにも、演じられなかったけど登場した人間もいたし、
 私が聞き逃してて、もっと大人数演じてたかもしれない)

公演日の9月6日は、蓮杖の息子、東太郎くんの誕生日だったそうです。
(とかいっても、実際は旧暦だから…とちょっとスネ気味の彩子さんもかわいい)

今回は高座と座席の間が近く、
「さすがにこれじゃあ、走り回ることはできないだろうなぁ」
と思っていたら、
今回はまさかの高座で ご ろ 寝 という展開(笑
4月にも聞いた、覚えのあるオリジナルのBGM、
世間話から突然「落チ語リ」に変わるあの始まり方も健在。

今回は、私が慣れたことと、
観る対象が彩子さん一人で済んだこと、
展開が穏やか(←前回と比べて)だったこともあり、
一瞬で登場人物を切り替えるワザも落ち着いて観れました。
でもやっぱり何度か
「スローカメラをよこせぇぇぇ!」と思う瞬間がありました(笑
落語と演劇のいいとこどり、楽しい。


次の「落チ語リ」は、
10月19日(日)19:30~ 浅草リトルシアターにて。

蓮杖親子が移り住んだ浅草の地で、
息子、東太郎くんの視点から晩年の蓮杖たちの姿を描くようです。
今回の『ほらふき写真』みてなくても大丈夫とのこと。

詳しくは 彩遊戯のブログ を参照、ってことで。

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