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『グルシェ』観てきたよって話。

大阪帰りの、先日の日曜。
好き好き女優の安藤繭子さんが出演している
フォーラム・コイナさんの会 24回公演
『グルシェ』を、観てきました。

繭子さんはグルシェ役。
主演です(〃´∀`)

ベルトルト・ブレヒトの
「コーカサスの白墨の輪」という演劇作品を元に
独自のアレンジを加えています。

「コーカサスの~」とか聞くとピンときませんでしたが、
「育ての親と生みの親が子供を引っ張り合う話」というと
脳裏にボンッと大岡越前が登場しますね(笑
「コーカサスの~」も大岡裁きも、
元々は同じ中国の古典からストーリーをつくったようです。



コーカサス地方のある街。
クーデターが起きて領主は殺され、
領主の奥方は自分が逃げるので手一杯。
生まれたばかりの世継ぎミヘルは、屋敷に置き去りに。

戦地に行った婚約者を待つ身の女中、グルシェは、
置いていけばミヘルは殺されてしまう…と、
ミヘルを抱いて追っ手からなんとか逃れて、
山を越えた兄の住む街に向かいます。

無事に兄の家にたどり着いたグルシェ。
しばらく身を潜めていましたが
戦争が終わったことで、
婚約者も領主の奥方も、コーカサスに戻ってきます。
ミヘルは自分の子だと主張する、奥方とグルシェ。
法廷で争うことになります。
裁判官のアツダクは、ミヘルを白墨の輪の中心に座らせて、
双方でミヘルを引っ張り合うように指示します…



当日配布されたパンフレットによると、
『グルシェ』は
ブレヒトの「肝っ玉母さんとその子供たち」という作品も
下敷きにしているとか。
今回の『グルシェ』内に登場する、
戦地でたくましく生きる行商のおばさんが
「肝っ玉~」の主人公、
アンナが元になっているキャラのようです。

アンナ。
かつて繭子さんが演じた少女で、
そういう名前の子がいたなぁ…などと懐かしく思いながら。

↓ 長いので折りたたみ。




さっきのあらすじでは端折りましたが、
裁判で引っ張り合いになる前の、
グルシェの逃亡中に起きたすったもんだの分量多めです。
ちゃんと、逃亡期間が長くなると髪の毛も乱れてます。
コーカサス地方は寒い場所。
グルシェが自分の吐息で手を温めて
ミヘルのほっぺたに温度を移す様子が印象的です。
戦争の混乱期、
物価も高くて余分な布や湯たんぽなんて買えません。
繭子さん細いから、時代の雰囲気に似合いすぎ…!
そんな細い彼女が子供を抱えて
たくましく生きていくもんですから、
母心っていうのはスゴいなぁと思ってしまうのです。

クーデターの時、
彼女がミヘルを屋敷に置いていけなかったのは、
兵士シモンと婚約してたってのも一因なんでしょうね。
シモンと結婚の約束をすることで、
彼女はその後に築くであろう「家族」を
強く意識したと思うんです。
そのタイミングで、
血はつながってないけど、家族の象徴である赤ん坊を、
放ってはおけなかったんだろうなぁ…


登場人物が代わる代わるナレーションを務めるスタイル。
現代パロディネタも多めで、
流行語大賞になった「だめよ~ダメダメ」とか(笑
裁判官が引退宣言して
「次の裁判官は12月14日の選挙で決めてくれ」とか(笑

グルシェは基本的に、そういうおふざけはしませんでした。
ただ、吊り橋の向こう側から兵士を挑発したり、
物陰からジェスチャーをしていたり、
婚約者からもらったロザリオ眺めて
ニヤニヤウキウキして先輩に怒られてたり、
「グルシェ」という女性として様々な表情を見せてくれました

用語も現代風に言い換えたりしてるので、
古典作品によく見られる、
高尚で敷居高い感じが無くて、すごく入りやすかったです。
観劇未経験の観客を想定して作ったのかなーって印象です。


原典はかなり登場人物も多いそうで、
今回の『グルシェ』にするにあたって
だいぶ人数を削ったようですが、それでも役者さんたちが
何役もやってまかなっています。
そのたびに衣装も着替えて…大忙し!

個人的に印象に残ったのが、
インテリ医者、フットワークの軽いグルシェの兄、
頭の足りてない感じの下男、
ライオンの着ぐるみを着込んだアンナの息子(?)などを
演じ分けてた男の方。

領主の奥方ナテラ様も、ゆすり男役と演じ分けてました。
若干、衣装の色合いが似てたので、
ナテラ様が落ちぶれたのかと思ったのですが、
喋ったら別人でした。

グルシェの繭子さんと
アンナ役の方はさすがに一役でしたね(笑



兄の家でやっかいになってたグルシェさん、
ミヘルを自分の子だということにしていますが、
父親不明の乳飲み子を抱えた若い女性というのは、
田舎町では何かと目立ちます。
世間体を気にした兄が、
隣町に住む病弱な男との結婚話を持ってきます。
グルシェが隣町に行って嫁入りする頃には、
彼の寿命はつきるはず。
そうすれば堂々と未亡人として暮らせる…という作戦。

ところが、その病弱な男は戦争に行くのがイヤで
病んでいるフリをしていただけ!
結婚式&旦那の葬式の日に戦争が終結して、
旦那はのこのこと起きあがってきます。
グルシェの故郷に婚約者は戻ってきているはず。
でも困った、グルシェには健康な夫ができてしまいました-

…ってエピソードがあるんですけど、
この仮病旦那が、
それ以前の場面でグルシェに迫る、
セクハラ追っ手兵士(グルシェに木材で殴られ、
追った先で吊り橋からおちて、その兵はたぶん死んだ)と
同じ役者さんだったのが、
セルフパロディみたいで面白かったです(笑
そんなに、
繭子さ…じゃない、グルシェと結婚したかったのか?(笑


裁判シーンで、グルシェがミヘルを自分の子だと言ったのは、
贅沢三昧の為政者側でなく、
市民の側で貧しさや苦しみも知った
優しい大人になってほしい、という願いから。
でも、やはり実親の元にいた方が幸せなのかも…
という葛藤もあったのかな、
グルシェはミヘルの手を引っ張れませんでした。
(痛い痛い、と子供が言ったので
 育ての親が手を離した…という展開ではなかった)

うーん、ミヘルは
成人するまでグルシェのところで市民として育てて、
(息子が市民の中にいるなら、
 ナテラ様も悪政はしまいという希望も含めて)
成人後にミヘルは領主の任につくとかじゃダメかなぁ…
あぁ、でも領主としての勉強はどこでやればいいんだろう。



何人かのキャストさんが、
時々台詞が前後したりそれをアドリブで補ったりしていて
「がっ、がんばれ!」と
手に汗にぎってしまう瞬間もありましたが、
完全に芝居が止まるということもなかったので一安心。

これは偏見・勝手な思いこみといわれるかもしれませんが、
上演場所が区民センターで、
区在住・在勤・在学の人はチケット無料、
あと前説を劇中で登場人物がやる等のくだけた感じから、
区民イベント的なものを感じ取ってたんですよね。
ストーリーもわかりやすさ優先で、
観劇慣れしてない人が初めて演劇に触れる場所、
「演劇」との距離を縮める機会だったのかなーって。

もしこれで、この公演の観客の中から役者さんがうまれて、
のちのち繭子さんと共演することになったら面白いなぁ。

そんな感じで気軽に観ていたので、
カーテンコールのあとに
「この判決は本当に正しかったと思いますか」てな感じに
舞台上から投げかけられて
娯楽が急に講演会・勉強会になった感触で新鮮でした。

一言で「演劇」っていっても、色々あるんだなぁ。

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