青年座『UNIQUE NESS』雑感

仕事が忙しすぎて、家と職場の往復に集中した結果
ネット界に現れることができないという経験。
久々にしました。

生きてます。
そして今は諸事情により出先でブログを更新しています。
まいくろです。


先週末に観に行ったのは、
劇団青年座60周年企画「Act3D ~役者企画 夏の咲宴~」。
3作上演のうちのふたつめ『UNIQUE NESS』。

青年座、初めて観る劇団です。
「○○座」という名前で60年も続いているなんて、
敷居が高いところなのでは…とドキドキしつつ、
この『UNIQUE NESS』のチケットを買ったのは
劇団ガバメンツの早川康介さんの脚本演出だから。

東京でもお仕事されてるけど、
基本は大阪の人なので東京で観れるのは嬉しい。
笑いポイントが散りばめられてるのに、
その中にちょいちょいと、
心当たりのあるブラックな要素も混ぜつつ。
観た作品数はまだ片手で余るくらいだけど、
軽妙な流れの作品を作る方だなぁ…と思っています。

あと、キャストに
『ライト家族』で拝見した方が2名入ってたのもポイント。
(高橋さんと、演奏の福島さん)

代々木公園駅の出口から、
ドトールの横の道を曲がって突き当たったら右側。
初めて訪れた「青年座劇場」です。

ネス湖の怪獣「ネッシー」の写真を世に発表した外科医、
ロバート・ケネス・ウィルソン。
彼の関係者であるハロルド・グレイが病に倒れて、
その生を終えるまでの話。

上演時間は1時間50分。
今回も、笑いで景色を描きつつ、
その奥でチクッとくるようなお話でした(*´∀`)


今週末までやってるので、
もう一回いこうかなと思ってたんですが、なかなかに…くやしい!


以下、
まだ公演中なので核心は避けてるつもりですけど、
たぶん無意識に書いちゃってる気がする雑感。



↓ ネタバレ注意!




今回は、舞台の真ん中にベッド、
そして客席側を向いたイスが舞台に並べられています。
イスに人が座ると、
ちょうど顔がおさまる位置に額縁(フレーム)が配置。
メインで動く登場人物以外は、基本的にこのイスで待機。
といっても、着席中も存在を殺しているわけではなく、
話題にかかるようなときは動いたり、
全くの別人物役として演技をしたり「背景にしない」方式。

作中、臭うブツが登場するのですが、
みんな思い思い顔をしかめて鼻をつまんでいて笑えました。

『ライト家族』もこんな方式だったなぁ。
早川さんは、
役者さんを常に舞台上に居させる方式が好きなのかしら。
好きな人をたくさん観てられるので結構好きです、これ。

「作中では核心をついてないのに、
 登場人物の意図が、
 観てるこちらには分かる会話」が面白いです。
あと、相変わらずこちらの視線を操作する演出。
たとえば、小豆畑さんの役は、
待機中に別人物の役をやるのですが。
とあるシーンで、
彼が動き出す前に観客は彼に目がいくようになっています。
その前のやりとりで、慣れさせられている(笑


パンフレットだと揃いの服で、
髪型も舞台上とは違うので役名がなかなか頭に入りませんが、
観ていれば問題なく人間関係が頭にはいってきます。
名前じゃなく、キャラクターで覚えられます。



>ハンナ・グレイ@橘あんりさん
ハロルドの妹で、看護士。
客席側と舞台上の景色をつなぐ、
語り部の役目も果たします。

彼女の言う「ユニーク」という言葉の使い方が、
面白くもあり、つらくもあり切なくもあり可愛くもあり。
一番近くにいたからこそ、その感情を抱くんだろうなぁ。
くるくる変わる表情に共感していると、
思わぬところでギョッとさせられます。



>ウォルター・クレイグ@高松潤さん
ハロルドのネッシー実在論と真っ向から対立する、
ネッシー非実在論をかかげる学者センセイ。
ですが、ハンナと恋仲で、
ハロルドの病状がこれ以上ひどくなる前に、
彼から結婚の許可をもらおうとしています。

一番ドタバタ要素が強かったなぁ、という印象。
別にへんなことしてるわけじゃないんですけどね…(笑
絵に描いたような喜劇の登場人物って感じです。
登場してから終盤まで
笑わせテンションが高止まりしてるのがスゴいなぁ。

ビジュアルが某ドラマの登場人物っぽくて、
(「どんとこい超常現象」を出版しそうな感じ)
さらあんな性格なので、
一気に親しみがわきましたねぇ。



>デイヴィット・グレイ@山野史人さん
>フローレンス・グレイ@津田真澄
ハロルドの親戚夫婦。
毎日お見舞いにきて、ハロルドのご機嫌うかがい。
お土産に、おどろきの品。

口からでる言葉と真意が真逆で、
というか真意がばればれで…いっそ気持ちいいです。
特に奥さんの、帰り際の行動がダイナミック。
物理的には見えないのですが、何やってるかすぐ分かる(笑

夫婦といえども別の人間ですから、
一つのことに対しての対応が違うときもあります。
その辺も含めて、
この二人を上手側から観ておきたかったなぁ。



>ミセス・マクノートン@森脇由紀さん
杵柄を取りすぎなハウスキーパーさん。
しかし物事の優先順位が少し変…?

彼女のキャラクター、作中で一番好き。
仕事に徹している、ポーカーフェイス気味な表情とか、
そこから繰り出されるボケとツッコミ(両方できる)とか。

あるシーンで感情的になるところがあるんですが、
そこで言ってる内容めっちゃ同意(笑
ミセスってことは既婚なのか…
彼女の旦那さんってどんな人なのでしょうねぇ。



>ケイト・トンプソン@万善香織さん
とあるミスコンの優勝者。
ロバートの代役として審査員をつとめたハロルドによって
「Miss.ネッシー」に選ばれます。

まず、開演すぐ彼女に「ぎょっ」とさせられます。
なんだあの格好!
もうね、席につくまで目が離せません。
彼女は、悲劇と喜劇のボーダーラインに位置する人。
というか、喜劇っていうのは、
当人にとっては悲劇なんだなぁ…って思ったり。

彼女の服が、あの色だったのは、
あえてその色を選んできてきたんだろうなぁ。
最初のエピソードの時点では、
服屋でも
あの色しか売ってもらえないのかと勝手に思ってた(笑



>リサ・ブライアント@高橋幸子さん
ほんとうは、「高」の字は
上がハシゴになってる方の字なのですが、
変換できないのでこちらで…。

ホテルの客室係。
そして、ハロルドと関係していた女性です。
常に嘘をつく彼女。
彼女に限らず、女は嘘をつく生き物なんだなぁ…。
嘘で固めてれば傷つかない、もし傷ついても最小限。
その彼女すら、ハロルドは…!
ほめ言葉じゃなく、スゴいですねハロルド。

アンが部屋に来たときの彼女の行動、
あれは壊してやろうっていう意地悪じゃなくて
純粋な気持ちの表れだったのかなぁ、と思いました。
あと『ライト家族』でみせた「アレ」、またやった!(笑
その時の晴れ晴れとした笑顔、大好きです。



>アン・ランズベリー@遠藤好さん
「好」で「よしみ」さんと読むのですね。

ハロルドの、元・奥さん。
貧しい暮らしをしていて、拾い物リサイクルが得意。
まさかの、まさかの伏線回収(笑

愛人のリサに子供ができたのを知ったのが、
ふたりの離婚の原因かな。
そして、アンとハロルドの間にできた子供についても。
リサとアンがハロルドを挟んで向かい合うシーンの、
彼女(たち)のまとう感情、ガツンときます。
腕を組んでいるのは、本心を隠しているんだろうな。



>ヒュー・クランズマン@小豆畑雅一さん
「あずはた まさかず」さんなのですね。

ネス湖のほとりに建つホテルの経営者。
騒ぎに便乗して、ネッシー商法で売っていこうと
コラボ商品などをたくさん作ってしまいました。

ネッシーをWikipediaで調べたとき、
写真についての件でスパーリングって名前が出てきました。
でもキャスト一覧に「スパーリング」って人がいなくて、
おやおや? と思っていたところ、
彼が飼ってた犬の名前がスパーリングでした(笑
史実の名前が
同じ場所で使われているとはかぎらないのね…。

その犬、スパーリングと戯れるシーンは、
彼一人で動いているのも関わらず、
「あそんでくれるよね!?」と
期待に満ちた犬の姿が見えるようでした。



>マイク・ウェザレル@嶋崎伸夫さん
ハロルドの友人の、猟師。
じつは、ネッシーの写真は彼が撮ったもの。
ですが、
ハロルドの「地位のある者が発表した方がいい」との考えから
写真は外科医のロバートが発表することに。
よって、ウェザレルの存在はマスコミに明かされぬまま。

物語の舞台がイギリスということで、
「労働者階級」と「資本家階級」という概念があります。
衣装や話し方などで、露骨に差が描かれていましたが、
そこに差別要素やバカにする要素はなく。
ウェザレルの学のなさが、
事態をいい感じにかき回してくれます。

ブルジョワである学者センセイのウォルターとの「戦い」、
本人たちは必死、けどまわりは生温かい視線…という
空気感が面白かったです。
そこには労働者も資本家も関係なく、
平等にばかばかしいのです(笑



>ハロルド・グレイ@大家仁志さん
ネッシーの写真を発表した、ロバートの関係者。
病床にふしています。
この物語は基本的に、彼が亡くなるまでの景色を描いています。
ハロルドね、気むずかしくてひねくれ者です。
悪態ばっかりついていて、
でも、死を前にしてもいたずらっ子のような表情を見せます。
最初の内は、それがとても愛らしく見えます。

で、途中で、彼が見せる「笑顔」に気づいて、
「どうしてそのタイミングで?」と気になるわけです。

クライマックスで、
その理由が彼の口から明かされます。
そのシーンの彼を見たら、
なんだか無性に切なさがこみ上げてきて、
ハラハラと涙が出てきました。
だから、子供のことにもあんなにこだわってたのか。

愛されるのはわりと簡単だけど、愛され続けるのは難しくて。
だけど憎まれれば、それを維持するのは割と容易で。
愛と憎しみ、乗ってる感情は多少違うけど、
みんなが彼の名を心に刻みつけ、彼を見つめている。
その景色が、そこで浮かべる彼の表情が、
胸に刺さりました。



そして忘れちゃいけないもう一人のキャスト。
「演奏」として舞台に存在していた福島大さん。
とぼけた調子から、シリアスな部分まで、
幅広く、そして主張しすぎずに、景色に音の彩りを。

今回は下手の奥でスタンバイ。
前説(まいくろでも知ってる、特別ゲスト!)の案内で、
一番最初に席につきます。
まいくろの席からちょうど、額縁越しに見えて、
なんか絵になってて得した気分(*´∀`)

『ライト家族』に引き続き、今回も「参加」してました。
そのタイミングが、これまた絶妙。
ちょっと戸惑いぎみに主張するあたりが、なんとも(笑



今回の『UNIQUE NESS』では
「関係者」という言葉の、概念の脅威も知りました。
この世に生まれ落ちた以上、
誰もが、誰かの関係者であります。
でも、関係者はあくまでも
「関係するだけの人」であるということを、
私達は見失いがちなんだなぁ…。



私が思うに。

そこにわずかながらでも愛が残っているから、
憎しみに変わるんだと思います。
愛が無くなれば、憎しみには変わらずに
「無関心」になるんじゃないかな。
彼はそれに気づいていたんだろうか。
気づいていたら切なすぎるし、
気づいていなかったのだとしたら悲しすぎる。

私が目にした「ユニーク」な彼は、
えげつなくて、ひねくれてて、でも必死で、
面白いけどすこし苦い生き様を見せてくれました。



そんな『UNIQUE NESS』も残すところ
8日(金)19:30~、
9日(土)16:00~、
10日(日)14:00~と各1公演ずつ。

笑いにはいろんな種類があるんだな…と、
つくづく思わされる作品でした。
笑えるコメディ。
だけど、「面白い」だけじゃあないってのが楽しいです。

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(画像は7年前に描いたものです)