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sunday『友達』観てきた!

大阪から戻って、東京某所潜伏中。
まいくろです。

昨日は一日、伊丹のAI・HALLでウロウロ。

現代演劇レトロスペクティヴ
sunday play日本の名作#2『友達』 を観てきました。

遠征しようとした理由はキャスト。
「出演するならなるべく観たい(できたら2回観たい)役者」
である野村侑志さんがご出演。
さらに関西の女優、田中良子さんも出演するとか。
たしか彼らはオーディションで選ばれたって話をtwitterで見たんですよね。
オーディション受けたってことは出たかったから受けたんだと思うし、
そういう作品なら、なおさら観てみたいなぁと。
(まぁオファー来て了承したってのも「出たかったから」からだろうし
 結局どういう経緯でも「出たかったから」という処に落ち着くんですが・笑)

sunday自体はまだ観たことない団体ですが、
突劇金魚で何度か観た井田武志さんが所属しています。
過去講演のダイジェスト映像を見る限り
「考えるな、感じろ」的な演出なのかなぁ…。


で、今回の現代演劇レトロスペクティヴというのは
「1960年代以降の、時代を画した現代演劇作品を、
 関西を中心に活躍する演劇人によって上演し、再検証する企画」だそうで。

『友達』の初演は1967年。
さすがに生まれてないけど、ものすごい古いってわけじゃないんですね。
実際、原作者の安部公房も亡くなったのは1993年ですから。

既成の脚本ということで、
原作に手を付けてみようかと思ったのですが
その前にあらすじを見とこうかなってことで、ネット検索。
思わず手が止まりました。

なぜなら、北九州監禁事件を彷彿とさせたからです。
(もっとメジャーなのなら尼崎連続変死事件もありますね)
この事件を扱った演劇を以前観て、精神的にかなりクるものがあったので、
今回もそういうのだったら…とドキドキ。
結局、原作そのものに触れる勇気は出ませんでした。

でも、公演が近くなるにつれて
『友達』は様々な団体で何度も上演されている作品だし、
そんなえげつない表現があったとしたら
ネット検索でその手の記述が引っ掛かるだろうし。
出てこないってことは、そういう暴力的な話ではないんだろうな、と。

なによりキャストが「楽しい」という言葉を使っていたのも安心ポイント。



で、実際に観に行って。

たしかにあらすじに嘘はなく、
居座り続ける家族たちと男の関係に怖さを感じましたが、
その手の殺人事件とは全く違う世界でした。
あらすじの箇条書きマジックってやつにかかってしまったのでしょうね。

「面白い」と単純に言ってしまえない物語でしたが、
金属棒でつくった箱と、影を駆使した演出にとても心を惹かれました。



↓ ネタバレ注意!




日常生活を繰り返してる、というオープニングの演出や、
影絵で表現された過去の幸せ、
そこにかかる鳥かご。この流れ、好きでした。

「男」の個人的空間をかき乱す家族たちを描くダンスは、
唐突に挿入されるあたりが独特です。
ただ、ダンスの前と後で視点の位置が変わっていたりするので
そういうの面白いなぁって思いました。

タイトルも影絵で、
その微妙に遠近がズレてるところに不穏さを感じました。
「達」の点の部分にアレを使うあたりとかも、
友達といいつつ「友達」じゃないな(笑)って。



「一人ぼっちはいけないわ」
「ばらばらになった首飾りにひもを通してあげなければ」と、
独りの人間のもとにやってきて、共同生活に巻き込む「家族」たち。

そりゃあね、人と人とのつながりは大事だと思うです。
でもやっぱりあの「家族」たちは押しつけがましいよなーって。
そもそも私自身が
「他人と一緒にいることに苦痛はないけど、『独り』の時間は絶対確保したい」
(ここでいう『独り』=周りに人がいても、必要以上に干渉してこない状態)
という性分なので、
頼んでないのにやってきて許可も取らずに生活に入り込んでくる彼らには
もうね、恐怖しかなかった(笑

実際現れたら完全に拒否だ、と思いつつも、
あの集団生活をしつつも独りの時間を確保できてる三男の存在によって
私もなだれ込まれてしまう気がする…


彼らの行動理念が「支配したい」じゃなく純粋に「善意」であるところが
前出の殺人事件などと全く違う点だと思いました。

そして善意かつ、確固たる信念であるがゆえに、タチが悪い。
迷惑しているんです、という反応が通じないんですね。
そしてまわり(警察とか婚約者とかその兄とか)から見ると、
めちゃいいことしてるように見えるんでしょうね。
(その辺はうまい具合に説得してるんだと思いますが)

ちょっと前に観劇に行ったところで、
「本人は善意からやっているであろうことが
 周りの一部の人にとって迷惑になってて、
 そして結果的に本人が善意を向けている相手にマイナスになっている」
と、いう事例を目撃しまして。
なんかそのことが脳裏をかすめて、複雑な気持ち。


さて、意見が食い違った時に、
それを見た第三者は、なにをもってどちらの意見を信じようと思うのかって話。
先にこちらに報告してきた側か。
付き合いの長い、知った人間が属する側か。

実際に居座られた現場を見ていた警察も、男の言い分を信じませんでした。
でも私は、すくなくとも「婚約者」は、
付き合いの長さから無条件に男を信じてくれるだろうと思っていました。
しかし、あの状態。

婚約者の兄に至ってはもう瞬殺です。
彼と「男」はどれくらい面識があったんだろうなぁ。
むしろ、妹がそうだったように
面識があるからこそ「男」に裏切られたように思えて、
「家族」を信じたのかもしれない。

自分で見たものだけを信じても、とりこまれてしまう。
「判断する」って…どうすればいいんだろう。
そんなことを考えて、人の心の危うさに怯えました。



良子さんは「家族」の長女役。
明るくて世話好きで面倒見よくて、華やかに健康的な色気。
後半はセクシーな姿も披露してくれます。
初っ端のパワフルな歌声もよかったなぁ。

彼女と次女のシーンの、ピリピリ感にゾクゾクしました。
あけすけなのと、オブラートに包んでるのと…みたいな感じ。
隣人愛と男女の愛は同居できると思いますが、
長女はあっけらかんと口に出しているのに対し、
次女は男女の愛を無理やり隣人愛の中に押し込めてるような感じ。
長女も次女も毎回同じことを繰り返しているのかな…という印象を受けました。
あの「家族」血がつながってないんじゃ疑惑を感じてましたが、
猫談義の時の次男の発言によると、血はつながってるっぽいですね。


野村さんは婚約者の兄。
独り身で、口ではあんなこと言ってますけどシスコンで(笑
カメラマン志望なのか、趣味で始めたばかりなのか。
(タイマーシャッターの使い方がぎこちなかったから、という薄弱根拠)

昼の部は前説諸注意が野村さん(おそらく回替わり)で、
トークショーは福谷さんでまいくろ得すぎでした(^▽^*)
まいくろを関西小劇場界に誘った人と最近気になる人。
まさか一気に見れるとは思ってもみなかったのです。

野村さんはメインで登場するシーンは多くはありませんでしたが、
メインで登場していない時も舞台奥に常に待機してて、
ダンスや折々のシーンで一緒になって動き回ってました。
まじろうと思えばいつでもまじれるんだ。仲間も、友達も。
個人的に、警察に説明してるダンスと、冷蔵庫あさりソングの時の動きが好き。
メインで出てる時の「男」への対応に、義兄(予定)の威厳を感じてみたり。


そうそう、生演奏の2人も、まじってるときありましたね。
効果音は基本的にチェロと、声。歌の時もあるけど、声の時もあります。
あと次男のギターと、舞台装置をたたく音もありましたね。
ダンスのあたりで、ちょうどチェロを弾いてる彼の影が、
歌ってる彼女を刺してるように見えてちょっとドキッとしました。



私ね、「友達」という表現は、一方通行なんじゃないかなって思うのです。
自分にとってどういう相手が友達なのか、というのは個人差があるし、
改めて互いにその概念について念押ししたりする機会って少ないし。
(というか「私たち友達だよね?」という人は疑ってしまいそう…)

自分は友達だと思ってても、
相手にとって自分は知人でしかなかったり、あるいはその逆パターンだったり。
「私は○○さんを友達と思ってて、
 ○○さんもきっと友達だと思ってくれてるはず」
という、願いにも似た感情を抱く相手が私にとっての「友達」かなぁ。
そうすると、私、友達めっちゃ少ないことになりますなぁ…。

この作品のラストシーンでも「友」という言葉が出てきますが、
温かみのある言葉なのに、やはりうすら寒さを感じてしまいました。


観てる時の息が詰まる感じ。
ところどころに挟み込まれる笑いも、
笑いながら、無責任に笑っていいのかしら、と
かすかに罪を犯しているような気持ちになるという不思議な感触。
そして終演の瞬間、写真がばらけた時の解放感。
そして最後まで流れているあの歌の優しさと不気味さ。

「男」はモノトーン、そして「家族」たちは色とりどりの衣装、
という対比も印象的です。
「家族」のほうが人生楽しそうに見えてきますからねぇ。

なんというか、恐ろしい作品でした。
あんまり使いたくない言葉だけど、すごかったです。
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