『穴の宇宙』 を先週観てきた!

また変な時間に目がさえたのでブログ書いてます。
まいくろです。
先週は大阪オンリーの観劇旅行でした。

しかも気づいたら10週連続で観劇の予定になってたという。
これは、その6週目の話。

大阪王子こと野村侑志さんが出演してたってことで知った、突劇金魚。
短編作品集 キンギョの人々 vol.3『穴の宇宙』を土曜に観てきました。

まず会場がね、劇団が稽古などで使ってるアトリエ(民家)なんですけど、
さまざまに飾り付けられてて入った瞬間からもう別空間。
応対も衣装姿(サイトの写真そのまま!)の役者さんで、
前後左右に迷いそうな瞬間にちょうど出てくるというナイスタイミングっぷり。

なんか、席についてからスマホを出しづらい雰囲気でした(笑
いや、電源切るために一度は取り出すわけですが。
なんというか、
あそこは電子機器の安定した光で
煌々と照らしてはいけない…そんな気がしたのです。

昼公演で
「捨ててもいいし」「俳優のナゾ」「穴の宇宙(黄色)」を。

夜公演で
「ヨシ子の罰」「捨ててもいいし」「穴の宇宙(朱色)」を。

公演は今月いっぱい。
上演時間も3作観れて75分とコンパクトなので、
突劇金魚初めての人も触れやすいんじゃないかなぁと思います。

↓ ネタバレ注意!

まず、オープニングソングの片桐さんが、
別におかしいこと何一つしてないのに無性に笑いがこみあげてきて。
(たぶんカーテンの使い方とかタイミングなんだと思うんですけど)

あぁ、これこれ、このとぼけた感じ、何が起きるのかわかんない感じ! と、
ガッツリと突金ワールドにひたれる準備万端にしてくれました。



>『捨ててもいいし』

『富豪タイフーン』の早期予約特典で、
野村さん&山田さんver.の映像版が見れたので、
作品に触れるのも2回目。
でも今回は、場所も演者も演出も違うのでワクワク。

片桐さんが子供やるにあたって、
設定を女児にするのかなと思ったらそこは「息子」で同じ。
でも男の子に見えてきますね。

息子は、弟ができてからというもの、
「○○したらあかん」という言葉ばかりを
両親から与えられています。
彼の頭の中は「あかん」でいっぱい。
そして、それを守ってることを誇らしく思っています。
「それが僕なの!」という言葉に、
観てるこっちは、なんか辛い人生だなぁと思うけど…
ふと、よく考えたら自分だってそうじゃん、って。

私の感覚ですが。
「○○していいよ」よりも「○○しちゃだめ」のほうが、
頭に残る気がします。
だって、「していいよ」って事をしなくても
「ふーん、やりたくないのか」で済まされるけど、
「しちゃだめ」って言われたことをしたら、
ぜったい怒られるか、相手を不快にさせるんですもの。
誰が好き好んで怒られたり、相手を不快にしたいでしょうか。

誘拐犯に出会って、知らなかった感覚に触れて、
「人生の方向転換せな(あかん)」って思った少年は
車のハンドルをきります。
今できる、一番簡単な方向転換。

事故って、夢の世界へ。

白衣を着た誘拐犯が、少年の脳にしわを刻んでいきます。
いままでの「あかん」は捨て去られ、
まっさらになった少年の脳みそに。
語らいの中で見せる、山田さんの表情が好き。
このシーンの、あるセリフ、
ミソゲキverだと言ってる人が違うんですねぇ。

前に映像で見たからなのか、
それとも今回2回観たからなのか、
音楽がやたら心に残りました。
歌詞を検索しても見つからないんですけど…
あれってオリジナルなのかしら。

開演前の客入れの音楽も、ふわふわガガガッって感じで、
時折サリngさんがリズムを取ってたりして
音楽も、空間を作る大事なモノなんだよなって。



>『俳優のナゾ』

俳優が「俳優」という生き物を語ります。

脚本は片桐さん、演出は片桐さん&サリngさん。
そして出演は山田まさゆきさんです。

「未来に起きることが台本という他人の意志によって
 あらかじめすべて決められている」てなくだり。
ハッとします。
俳優が俳優について語っているんだけど、
これは書かれた脚本で、演技なんだよなぁ。
狭い空間に山田さんひとりが立っているだけなのに、
マトリョーシカみたいな、合わせ鏡みたいな、
彼が多重に見えるというか。

劇中・稽古含め何度も同じ事を経験しているはずなのに
いつだって「初めて」の表情を見せる役者って生き物。
意識して表情を作ってるのか、
それとも完全に意識をリセットして「初めて」と思ってるのか。
不思議ですよね。面白いですよね。

途中に雰囲気ががらっと変わって、別人のようになります。
「隙あらば芝居の練習をしているんです」と彼は言いますが、
なんとなく、あれは、
彼の内にある「役者の本能そのもの」なのかな、と思いました。
台本にはヒント(役名)が載ってますが、
初見の印象では、彼は彼自身だったように見えました。



>『ヨシ子の罰』
オープニングで、ろうそくを立てたケーキを、
妹ヨッちゃん(@片桐さん)に見せる、
姉のアキ(@サリngさん)。
ヨッちゃんがろうそくの火を吹き消そうとした瞬間、
姉がその火を消してしまいます。
「ください…」
ってところで、思わず笑いそうになりましたが
「私に、罰をください」
と続いたのでゾクッとしました。

姉のアキちゃんは、
いたずらばかりする妹に、常に罰を与えています。
今日は、犬の餌にムカデを混ぜた妹のヨッちゃん。
姉はヨッちゃんの首に鎖をかけ、
犬の鳴き声以外を喋ることを禁じます。

姉は、
「悪いことをした者は罰を受けなくてはならない」
という考えの持ち主。
その価値観を妹にも強いています。
傍目から見ていて、もはや病的なほどに。

きっかけは、妹の誕生。
アキちゃんとヨッちゃんの母親は、
妹のヨッちゃんを生んだときに死んでしまったのです。

「私は生まれた瞬間に人殺しです」と言う妹は、
いたずらを繰り返しては、姉から罰を受けています。
彼女の心の中にひびくのは、姉の「お母さんを返して」。
それがぐわっと襲ってくるのが、
怖いというか「囚われてるなぁ」って。

生きていく上で、
人間はいつも何かを殺したり壊したり傷つけたりしています。
命でできたご飯、歩く道の下には死骸。
罰を受け続けている妹は、「悪いこと」に敏感。
自分の毎日が罪に染まっているのを感じています。
常に妹は罰を受けるためにいたずらをしてるのかなぁ。
わかりやすく、罪をつくっているのかなぁ。

「罰あたえたら、許さなあかんくなるやんか」
罪を作る妹、罰を与える姉。
罰を与えることで、その罪は許される。
つまり妹は許されてしまう。
姉のアキちゃんは、
母を奪った妹を許さなくてはいけなくなってしまう。

でも母を殺してしまった妹(私)は許されてはいけない、
生きていくと同時に
罪を犯し続けている妹(私)は許されてはいけない。
つまり姉は、妹(私)を罰し続けなくてはいけない。

「妹に罰を与え続けなくてはいけない」というのが、
姉が生き続けていくために受けている罰なのかなぁ、とか。

実は妹が舵を取っているかのような共依存的な関係が
暗い深淵の底を見ているようでした。



>『穴の宇宙(黄色)→(朱色)』
女が、窓から道行く人々の「ちゃんとしていない」行動を
おもちゃのラッパで咎めています。
ここは、大工の父と、スーパーにパートにでている母。
そして、その娘である女の3人の家。

父はくちゃくちゃご飯を食べ、げっぷをします。
母は知ったかぶりをして、きいきいわめいています。
女は、両親もおもちゃのラッパで咎めます。
「ちゃんとしてよ、私の親なんだから」と。

誰のおかげで飯が食えるんだってことで、父がDV開始。
娘は部屋にこもり、
また近所の人を咎めることで現実逃避しています。
すると、隣の母の部屋から変な声が聞こえてきます。

娘は、壁の穴をのぞいて母の様子をうかがうのですが…てな話。


まず、おもちゃのラッパというチョイスが好き。
娘の子供っぽい精神をパッと表してるし、
緊迫してるのにどこかヌケた感じの音ってのが面白いです。
あと、ずっと子供の頃からやり続けてたのかなぁ…とか、
妄想力を刺激してくれました。

サリngさんの演じてたバージョンの方が、
娘の年齢を幼く見積もっていました。
展開的に、
男の家に行って掃除するとか料理するとか言ってるので
すくなくとも高校卒業くらいの年齢かなって想像。

一度、作品をオチまで観ているというのもあるんでしょうけど
倉本さんの演じた娘は、もっと大人な印象。
もう、それこそ26歳くらいの微妙な年齢。
「いい加減自立してもいいんじゃないの…?」
みたいな年頃の印象でした。
だからこそ、赤ちゃんへのプープーがかわいい( ´∀`)

あと、片桐さんの幅広い演技力。
冷静すぎる赤ん坊に笑ってしまいました。
あんがい赤ちゃんの頃が、人間は一番冷静なのかも。
そんなヌケた演技から、
「生への執念」の固まりみたいな表情への変化にゾクリ。
衣装代えてないのに、年をとっている、
若くなっているのががわかりました。

山田さんの、ギターをかき鳴らす魂の叫びがね。
音程とか正直めちゃくちゃ(わざと)なんですけど、
だからこそ味があるんです。
熱いハート…呼び覚ませないぃ~! の語感がなんか好き。


「親という生き物は完璧であるはずだ」という妄想は、
私も子供の頃に持っていました。
子供には、親が世界のすべてでしたから。
親がやることは、全部正しいんだーって信じてました。
でも外の世界に出てみて、
親も人間だから欠点もあるんだぞ、と知るわけです。
そして、その親から生まれてきたのが、自分…と学ぶ。

そこで人間の個性を愛らしいと思うとか、
不完全な者からできた自分は欠陥品だと思いこむとか、
その結果はまちまちです。

壁の穴を覗いて、宇宙を冒険した彼女は、
時空も空間も越えて「自分」を構成するモノに触れていきます。
もしかして、もっと奥までいったら
彼女は恐竜とか原始人とかにも会えたんだろうか。



作品と作品の間に挟み込まれる宇宙旅行も、
楽しみの一つでした。

遠くの遠くから始まって、ちゃんとラストには
「ここ」に戻らせてくれる流れが心地よかったです。

また今回もクセになる公演でした。
大阪住んでたら仕事帰りにもう1セット行きたかったなぁ。
スポンサーサイト

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://maikuro96.blog90.fc2.com/tb.php/1047-3e7ac5c2

«  | HOME |  »

最近の記事


カテゴリー


リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索


プロフィール

まいくろ

Author:まいくろ
ついったー:maikuro9696
(画像は7年前に描いたものです)