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思い返して『Jack moment.』雑感

さて、今週はまた観劇。まいくろです。

その前に、16日(日)昼に観た
バンタムクラスステージ 12回公演
『Jack moment.』のことを書いておこう。

大阪から東京に本拠地を移してからの2回目公演。
大阪最終公演を観てるから、
まいくろはバンタム3作目ヽ(゚∀゚)ノ


ストーリーは、1960年代のシカゴで
ひょんなことからギャングのトップになってしまった
ある会計士の男の話。
ファンタジー要素のない、諸行無常、盛者必衰の話。

劇場でまじまじとチラシを見たら
「方丈記」の英訳が載っているのですね。
たしかに方丈記の冒頭は無常を語っています。
このストーリーにぴったりです。


都内、大塚の萬劇場は始めていく場所でした。
役者は26人ですが、さらに作中で別役をやったりするので
登場人物はおそらく30人超え。
舞台上ごちゃごちゃしないの!? と思いますが、
1シーンに登場人物は5人くらいしか登場しないので、
カーテンコールくらいでしか、舞台の狭さは感じません。
上演時間は2時間半ありやなしやってくらいでした。

土日の前席は特典付き指定席だったようで、
速攻で完売(笑
ここは2回観たいと思っている劇団なのですが、
他の芝居との兼ね合いで今回1回観劇のみ。
自由席をGETして、真ん中のやや上手側での観劇です。
前席の人と頭がかぶらず、割と見やすい席でしたが、
舞台上に倒れている人が一部見えなかったり。
まぁストーリー見ている分には、
誰が倒れてるのか想像がつくので問題なしでした。


舞台装置も、シンプルなパイプ椅子とテーブル。
シーンごとに配置を換えて、
様々な場所を作り出します
あとは、後方にパイプが数本。
それを壁に見せたり、柱にみせたり。

照明もシンプルでしたね。
蛍光灯がチカチカっとするのが、裏通りの街灯っぽく。
エレベーターを、四角の照明で表現したのが印象的。
そこで銃撃された登場人物達が、
ちゃんと壁に寄りかかるように力尽きるところも
想像力を膨らませてくれます。
脚本の世界観と役者さんの演技がしっかりしてるので、
脳がうまく働いて、背景が鮮明に見えてくる。

しっかりした大道具で舞台装置作ってくれるのもいいけど、
こういう、想像力で補わせるやりかたって好き。
「舞台」っていう表現方式ならではだなぁって思うのです。


有料パンフレットのほかに、入場時にもらえる配役表。
人物相関図もついているので、
開演前にサラッと見て予習、
終演後にはストーリーを思い返す余韻として役立ちます。
なんとサイズは(前回公演に引き続き)A3です。
ふたつ折りにしないと鞄に入らない(笑
そうそう、今回「おっ」と思ったのが
ふたつ折りにしても、
折り目が誰の顔にも か か ら な い !
(前回公演は、見事に2キャラの顔を折り目が縦断)

そういえば、前回公演と同じ名字の人物がいました。
今回公演と前回公演は
多少関係があるみたいなことをTwitterで見かけたので、
もしかしたら血縁者だったのかな。 
たしか前回公演、イタリアンギャングのボスの下りで、
死んだお兄ちゃんの話が出てきてたような…?


↓ ネタバレ&長文注意!



物語の中心人物は、タイトルにあるように
「ジャック・モーメント」という会計士なのですが、
語り手は、彼と一緒に行動していた時計屋のフロッグ。

フロッグは、人付き合いが苦手でインドア気質な青年。
(なかなか見ない演技の6C土屋さん!)
だけど、時計修理の腕はなかなかのものです。
ジャックは彼に自信をつけさせて
技術をうまいこと引き出し、
銀行の貸金庫の鍵を開けさせて株券をGETしようって計画。

ジャックが仲間を集めていく過程は、鮮やか。
まずは自分を拉致ったギャングを説得して仲間に。
そこから、仲間にした人の知り合いや関係者などをツテにして
「貸金庫から株券を盗み出す」チームを作ります。
チンピラのダニー、その元恋人の盗賊ベティ、
ダニーの友人の逃がし屋マイキー。
時計屋フロッグに、
ボクサー崩れのストライクと
彼が見いだしたボクサー志願青年キット、
そのマネージャーのパコ。

株券GET計画は成功し、
実は父親であったシカゴのボスから
その地位を受け継ぐことになったジャック。
シカゴのボスの影響力は表の世界にもつながっており、
仲間達も、人生の落ち目から一躍スターの座へ。
しかしここから、諸行無常・盛者必衰モード全開です。

もうね、後半はずっと
「死」とか「絶望」が常に舞台上に存在してるんです。
もともと銃社会の話ですから、
いつパーンと鳴ってもおかしくないんですけどね。
ふつうの会話の裏にある駆け引きとか、
優しい笑顔の裏にある大盛りの殺意とか。
旅券を胸元から出す瞬間も、
ピストルが出てきたって納得しちゃうような緊張感です。


「身の程」をわきまえずに急上昇した者達は、落ちるだけ。
「次」をねらう奴らの手にかかり、
ジャックの仲間達は悲惨な最期を迎えることになります。
このくだりでいくつかの印象的なシーンを目にしました。


ベティ(@上野淑子さん)の最期「顔はやめて」。
彼女はデミトリというジゴロにハマって、
彼の借金を肩代わりしてた盗賊スキルを持つ女性。
ベティに心寄せる元彼(?)のダニーによって
その借金はチャラになるんですが、
それでベティはダニーと元サヤになったりはしないんです。
けして手玉に取ってるわけじゃなくて、
自分を曲げない誇り高い女性…
あぁ、なのになんでだめ男にハマる!? 
いやむしろそういう女性だからか!?

まぁそんな彼女はデミトリをおとりにされて
後ろから銃を突きつけられて、
仲間の居場所を吐けって言われるわけ。
あと一言だけ喋らせてやるってところで、
「顔(を撃つの)はやめて」。
デミトリと再会したあたりから、
彼女の中にはすでに予感というか…もはや確信があったみたい。
この言葉の中には「誰が言うものですか」の他に
騙されてたけど愛してた人の前で脳漿ぶちまけたくない女心とか
そしてなにより彼女の矜持が含まれてるなと思いました。
そこで暗殺者が頭を撃ち抜いちゃうってのがね。
運ばれてきた死体の頭には、麻袋。残酷物語です。


あと、ボクサー志望の青年
ミネソタ・キット(@飯野修平くん)、
彼を育てた元ボクサーのストライク(@鈴木浩司さん)、
マネージャーのパコ(@金子賢太郎さん)の最期のくだり。

バンタム級のボクサーとして脚光を浴びるキット。
ストライクは、
キットかつての自分と同じフライ級のボクサーにしたくて、
厳しい体重制限を行います。
このあたりの
「バンタム(級)イイよ、バンタム(級)!」というセリフは
ぷっと笑いそうになるのですが、
その笑いどころすらも、このあとに起きるであろう
悲劇の予感がべっとりと貼り付いていてですね…
この絶妙な空気感は「ナマ」ならでは。

キットの顔色が悪いのを見咎められても、
ストライクは「こいつは、やれる」と聞き入れません。
そしてキットもストライクが好きだから
夢を実現させたいと思っているようで文句を言いません。
成り上がった彼らの住処は、
家賃滞納のアパートから一気に高層ビルの最上階へ。
エレベーターで一気に最上階だ、というストライクに
「俺は階段で行くよ」というキット。
彼は純粋にトレーニング大好きなだけなんだと思いますけど、
どうしても先述の「身の程」が、頭をよぎります。
このさりげない会話に、彼らの在り方がにじみ出ている。

でももう遅くて、人生急上昇してしまったのは事実で、
もちろん銀行強盗という罪も犯してるし、
ずっと死亡フラグ立ちっぱなしでね…
「あぁ、ただバカな子だっただけなのに(ノД`)」
と、エレベーター乗ったあたりからドキドキしてました。

今回の飯野君が演じてたキットは、前回の役と違って
まさに脳みそ筋肉のハングリー青年。
(前半部ではだいぶ笑わせていただきました・笑)
だからこそ本能で、
自分の身の程を感じてたんじゃないかなぁと。
でも彼は「やれる」そして「やる」って選択した。
それは身の程知らずってことじゃないし、
自分を見誤ってたわけじゃないと思います。


彼らを消して「次」になった
金融ギャングのマッデン(@徳永健治さん)のパーティ。
笑顔で演説する順風満帆の彼ですが、
客席で見てるこちらとしては
「描かれるにしろしないにしろ、
 こいつもいつか落ちていくんだよなぁ」と思うわけ。
諸行無常・盛者必衰であります。
後ろをついて行くおかかえ暗殺者の醸し出す、
この不穏っぷりったら!


その中にあって、
ただ純粋にジャックを愛し続ける
婚約者のマリー(@緒方ちかさん)に救われます。
彼の財産があろうがなかろうが、
笑顔を絶やさない彼女が死ななくて良かった…
そして裏切らなくて良かった(笑
ごめんなさい、だって色んな女になれる緒方さんが演じてると
どっちに転んでもおかしくないんです…!


フロッグが語り手となっているのは、
「僕と彼は似ている」の言葉が理由の一つなんだろうな。
ジャック(@信國輝彦さん)の心情吐露は、
実は作中にほとんどありません。
角度によって、読みとれる感情も違うようなジャックの表情、
二度三度、様々な位置の席で観たかった…!
人間は一度会ったくらいじゃ
その全容を知る事なんてできない生き物。
でも舞台や映画やその他諸々の「物語」では
基本的に一度でわかるようにつくるのがデフォルトです。
しかし、特にジャックは、きっと何回観てもつかめない。
そういう意味で
バンタムクラスステージの作品は現実的だと思います。


あと、語り手フロッグの言葉として、
作中の人物のセリフを言わせる手法も
客席の想像力を煽るのに効果的だと思いました。

「オレはお前を許さない」てな
ゲッコー(@梅田喬さん)の発言を、
フロッグが文を読むように言ったのですが、
そのあとのゲッコーがどういうスタンスをとるのかを
後のシーンまで引っ張る効果になってました。
あそこでゲッコーは、
その言葉をどういう調子でジャックに放ったのか。
ありったけの憎しみを込めて声を荒らげたのか、
それとも、胸にあいた穴からこぼれたように呟いたのか。
想像するとゾクゾクします。



人生を時計の針にたとえたフロッグの言葉。
時計が刻む時間のように、
目の前で流れていく様々な人生を見ました。
そしてそれを銃の引き金をひく指、たった一本で、
その顔をさししめす指、たった一本で、
あっけなく終わらせてしまう現実も味わってきました。

『Jack moment.』は会計士の名前でもありますが、
「一瞬の陶酔」とでも意訳できる言葉のように、
そして「その一瞬を支配しろ」と囁く誘惑のように思えました。
(海外では「jack」という単語にそういう意味は無いので、
 完全に妄想です)

前回公演出演者も、別作品で観た方も、
そしてお初な役者さんも、
まいくろに現実を忘れさせる「現実」を創っていました。
少女だった人が高級娼婦になってたり、
少年役だった人が仕事に生きる女性になってたり。
あと、マフィアのボスが
落ちぶれ酒浸り駄目オヤジだったり、
頑固オヤジが、
イイ距離感の優しきダンディ叔父さんだったり。
動きや声色で、同じ年代の人物を演じていても別人です。
全員分挙げませんが、ほんと、こういうの観てて面白い。



スムーズに運んでいく物語はダレることなく、
笑いのシーンも「登場人物」としての笑いで、
本筋は必ず進んでいます。
笑いを呼ぶシーンそのものが伏線になっていることだってある。

外国の話や別世界という設定で演じていると、
ちょっとでも「素笑い」の要素が入ると
世界観も、観ているこちらの気持ちも
根底から揺らいじゃうんです。
「あ、これフィクションなんだよね」って冷めてしまう。
(同日夜に観た別作品が、
 千秋楽公演だったのもあってそれが如実で…感想UP断念)

バンタムクラスステージは
まだナマでは3作品しか観てませんが、
そういう事態に遭遇しませんので、どっぷり浸れます。


次回公演の情報はまだ無いのですが、
やっぱりこの劇団は見続けたいところ。

…と思ったらそうだ、
6番シードとのコラボ公演が8月にあるんだった!
よし行く。


気になるのは、カテコで福地さんがバンタムのことを
「脚本家(細川さん)と自分のユニット状態」と言ってたこと。
前回登場していた丈太郎さんと、
『ハーメルン…』で観たf-coさんとは
しばらく会えない感じなのかしら…(゚Д゚;
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(画像は7年前に描いたものです)


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