『勝式幕孝談』役別雑感 3

Twitterにも書いたんですけど、
文字だけでは歴史は語らないんです。
教科書に載っている人たちも、
喧嘩したり行き違ったり、恋愛したり、
くだらない冗談を飛ばして笑ったりする「人間」。

学校で習う歴史はあくまでも年表でしかないんです。
そこに、昔を、彼らを「知りたい」と思う者が居ることで
昔を生きた彼らは息を吹き返します。

偉人も事をなした後は老いていくし、
また、教科書に載らないような、
事をなす前に朽ちた魂もあるわけで。

今、自分が立っている場所は、
昔の人たちの汗と血と息づかいがかつてあった場所。
その積み重ねの上に、私は生きているんだよなぁ。

今から昔を見る『勝式幕孝談』。
とても面白かったです。

さて、最後の役別雑感。
薩長同盟のメンツですね。


↓ ネタバレ注意!





>西郷隆盛@ウォーレン・リウさん
『天使は瞳を閉じて』は観に行ってないので、
ウォーレンさんを観るのは初めてのはず。

別に特殊なメイクしてるわけでもないのに、
不思議と西郷さんに見えるんですよね。

「意見ば言うちょります」の、悪びれない感じ。
相手をはねつけないで一度は飲み込む、懐の広さ。
夢を夢で終わらせようとしないピュアな感じが、
近藤に通じるものがあります。
つまり、孝ちゃんにも似てる。

「正義をうたった殺し屋」たちを乗り越えて
現れる西郷さんと孝ちゃん。
あのシーンは、リーフレットに書いてある役名じゃなくて、
延々と続く争いの連鎖。
音野くんはひたすら争いをやめさせようとしてて
結局殺されてしまうのですが、
あれは龍馬っていうか時代時代にあらわれる
龍馬みたいな志をもった人ってことで解釈していいのかな…。
そのシーン、
現代のニュース音声を流して、客席に「今」を自覚させます。
争いをなくすのは容易でないという絶望感が
ぎゅうっとのしかかってきました。
だからその後の、孝ちゃんの言葉がキラキラ。



>大久保一蔵@中山英樹さん
作中で、大久保利通と名を変えます。

龍馬に「(器が)ちっちゃい」と評されます。
そこで言われたときに、そっぽを向いてしまって、
自分を省みれないのが
確かに端から見るとちっちゃい男だなーと。
でもこういう人の方が長く生き残ってしまうのが
ちょっとした皮肉だなぁと思いました。

大久保さんが悪かと言われるとそういうわけでもなく、
彼は彼の揺るぎない信念に生きてただけ。
ただ、少し上昇志向が強すぎるのと、
周りは自分の思い通りに動くものだ…と
信じ込んでる悪癖があるようですね。
作中では、桂と並んでしゃべり方に品があります。

桂が名を変える一件になったあの事件。
報告を聞いて
「予想通り」とも「わぁびっくり」ともとれない、
なんとも微妙な表情してました。
なんだろな…強いて言うなら戸惑いかなぁ。
自分の信念のためなら、
友を斬ることすら選択できる桂に対して、
そして自分を省みて
なにか思うところがあるような顔に見えました。



>桂小五郎@森山光治良くん
長州藩士で、
勝先生を通じて、近藤や土方と知り合い。
総司の姉、
お光さんへのアプローチがとにかくスマート。
というか、全体的にこの桂はいろいろスマートです。
「僕」とか「私」って自称する光治良さんが、すごく…上品!

初登場時、孝ちゃんの想像から作成されたときに
変顔してる桂は貴重なショットでした。
あれは、孝ちゃんが小さい頃に遊んであげた過去があった
って事で妄想補完しておきます(笑
引き続いての、
新撰組と桂&龍馬の決別(孝ちゃん妄想版)シーン。
めっちゃ芝居がかった桂の言い方がほんとおかしくて、
彼がしゃべるたび吹き出すのをこらえてました。

大政奉還後に作られる新政府。
龍馬の言うように徳川の者も加えるなら、
結局徳川がハバをきかせることになる。
よって戦前に徳川に敵対した長州の者は取り立てられない。

新政府に徳川の者も入れようとしているのは、龍馬。
龍馬を説得する? 説得できるか?
血を流し涙をこらえている長州の人々はどうなる?
見捨てるのか?

大久保にささやかれ、桂は決断を迫られます。
「選択すること」の残酷さを強く感じるシーン。
選ぶことは、一つを選んでそのほかを捨てること。
一つの道をつくり、
数多くの「もしもあの時」をつくること。
安易に「全部持って行く」なんて、できやしない。

桂は決断します。
龍馬とともに、「桂小五郎」も殺すこと。

「楽しい話は、なんど聞いてもイイもの」と笑い、
明日を生きようとする龍馬にかけた桂の「すまない」。
もう光治良さん目がウルウルしてて、
ほんとこの人はまっすぐな演技するなぁとつくづく。
後ろから斬って、
自分で斬ったくせに龍馬の手を取ろうとしてとれなくて。
崩れ落ちた友の死体の前での、言葉にならない叫び。
耳をつんざく、獣のような声でした。

木戸孝允と名を変えたところで、
「(桂は)地獄に堕ちて死にました」って言うのですが、
そのときに龍馬の死体を見るんです。
舞台特有の時空のゆがみというか、そんな感じの演出。
あの時の、人としての情をを捨てた「鬼」の顔が
凄く怖いんだけど、誰よりも孤独で寂しい表情で、
胸が苦しすぎました。

桂は、龍馬のやろうとしてたことを否定できなかった。
だから止めるには、
龍馬の命を止めるしかなかったんだろうなって。



>坂本龍馬@音野暁くん
くっしゃくしゃの髪の毛で、チャラけている龍馬。
最初に出てきた時点で、
袴のすそをたくしあげてホイホイ走ってくる姿に、
前回のロデオ公演の面影はゼロ。
あぁ、ひさびさの酔っぱらい音野おじさんだぁ(笑
愛嬌のある、どうも憎めない龍馬、全開です。
しかしフラダンス風の動きしてるときは
なんというかとても…鼻につきます(*´∀`)

そして、
土佐弁には「○○ぜよ」以外にもあるのねと知りました。
たとえ幕末への知識が薄いまいくろでも、
こうやって観ていれば
この作品は時代考証や偉人たちへの敬意が
随所にあるなと分かります。

いつもニコニコというかニヤニヤしてて、
道化ぶってる龍馬なんですけど、
会合の時などは人目に付かない場所で
真面目な顔で話し聞いてるんです。
薩長同盟での「先行くき」のキリっ顔が
一瞬しか観れないので特にポイント高いです。

あと、新撰組が池田屋に踏み込むとき、
「土佐の人間(=望月)を
 生かせるものなら生かしてやってくれないか(意訳)」
と土下座するシーン。
土下座してる最中のシャウトもいいのですけど、
土下座に入る前に言いにくそうにしてるところが、
とても人間くさくて好きです。
なんかあの時は、
目先の人間を優先してる、私情に走ってるって感じ。
そこつながりで、望月に対して
「さっさと帰ってこい」って怒鳴るところも好きだなぁ。

桂に斬られた時、ほんと予想外って顔。
チャラチャラニヤニヤの龍馬ですが、
桂とふたりでいるときは安らいだ笑顔なんですよね。
だからこそあのシーンは、両者ともに辛すぎて。

あと「わしはもう行けんのじゃ」的なこと言って
孝ちゃんの頭くしゃくしゃってやるシーン。
あそこの龍馬の表情がすごい良くて、
孝ちゃんの泣きべそも可愛くって、
夜の回も同じ席(下手側)座ろうかと思いました。
しかし全体的に登場人物の表情を見たかったので、
夜の回は上手側の席に。

もしDVDになるなら
是非あのシーン下手側から収録しててほしい(ノД`)




また、感想長くなりました。
最後までおつきあいいただきありがとうございました。

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